伊勢神宮で山口祭、式年遷宮へ最初の祭事 御用材伐採の安全祈願

2025/05/02 20:13 

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 伊勢神宮で20年に1度、社殿の建て替えなどを行う式年遷宮の最初の祭事「山口祭」が2日、三重県伊勢市の内宮と外宮で行われた。2033年の第63回に向けた諸行事が始まった。

 山口祭は正殿を造営する御用材の伐採作業の安全を祈る神事。雨が降る中、内宮で午前8時ごろ、太鼓の音を合図に始まり、久邇朝尊大宮司をはじめ神職、造営を担当する職員、「物忌(ものいみ)」と呼ばれる童男と童女ら76人が参列し、正殿で拝礼した。荒祭宮に遥拝(ようはい)し、五丈殿で祝いの食事を取る「饗膳(きょうぜん)の儀」が行われた。

 さらに神職や物忌、技官、技師、忌鍛冶(いみかじ)、小工(こだくみ)は青、黄、赤、白、黒の五色の幣(みてぐら)を掲げ、供え物などを持って参道を進んだ。神路山に設けられた祭場で古式にのっとり、物忌が忌鎌(いみかま)で草木を刈り始める所作を行い、御用材の伐採作業の安全を祈願した。

 正午ごろからは、外宮でも行われ、高倉山の祭場で作業の安全を祈った。

 内宮で童男として参加した千秋季誉さん(8)=伊勢市立四郷小3年=は「雨にも負けず、風にも負けず、頑張りました。楽しかったです」と、童女を務めた宮川結さん(8)=伊勢市立進修小3年=は「きれいな装束を着て、ご奉仕できて楽しかったです」とそれぞれ感想を述べた。外宮で童女として奉仕した工藤千鶴さん(8)=伊勢市立厚生小3年=は「大雨の中、大変でしたが、一生懸命頑張りました。お祭りが終わった後、いろんな人にほめてもらい、うれしかったです」と話した。

 また、2日夜の「木本祭」では、内宮と外宮の正殿の心御柱(しんのみはしら)を切り出す際の安全を祈念する。

 式年遷宮は伊勢神宮の内宮、外宮から摂社、末社にいたる125社の社殿や宇治橋、714種類にのぼる御装束神宝を全て新調し、ご神体を新社殿に移す伊勢神宮最大の祭儀。山口祭を皮切りに33の祭典や行事を重ね、33年秋の遷御を目指して準備を進める。【大竹禎之、小澤由紀】

毎日新聞

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