イスラエル、閣議で停戦合意を承認の見通し ハマスとの溝埋まる

2025/01/17 08:18 

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 パレスチナ自治区ガザ地区の停戦を巡り、イスラエルメディアは、イスラエル政府が17日の閣議で停戦合意を承認する見通しだと報じた。イスラエル側が、イスラム組織ハマスが「合意を破った」と主張し、16日の閣議は延期されていた。両者の溝は埋まった模様で、ブリンケン米国務長官は19日の停戦発効を「確信している」と述べた。

 停戦は3段階で構成され、「第1段階」で42日間の停戦を行う。開始後、16日目までに恒久的な停戦やイスラエル軍の完全撤退を含む「第2段階」に向けた協議を始めるとされる。

 米ニュースサイト「アクシオス」によると、トランプ次期米政権で中東担当特使に就任するウィットコフ氏らが16日、カタールでエジプトなどと協議し、問題は解決したという。イスラエル首相府は、ハマスが合意に反して釈放されるパレスチナ人の選定を要求したと主張していた。

 一方、ネタニヤフ連立政権の一角を占める対パレスチナ強硬派との調整で、閣議の招集が遅れたとの報道もある。極右政党党首のベングビール国家治安相は、政府が停戦合意を承認した場合は連立から離脱すると主張。別の極右政党のスモトリッチ財務相は、戦闘の再開を保証すれば、政権にとどまるとした。

 停戦発効が間近に迫る中でも、イスラエル軍はガザでの攻撃を続ける。ガザの保健当局は16日、これまでのガザ側の死者が4万6788人になったと発表した。これに対しハマスは、軍による空爆があった場所に人質の女性がいたと主張。女性の安否などは明らかにしておらず、イスラエルに揺さぶりをかける狙いがあるとみられる。

 一方、イランメディアなどによると、ハマスを支援してきたイランの最高指導者ハメネイ師は16日、X(ツイッター)に「シオニスト(イスラエル)を撤退させたパレスチナ人の忍耐や抵抗を誰もが認めるだろう」と投稿した。精鋭軍事組織・イラン革命防衛隊も声明で「パレスチナの大きな勝利だ」とたたえた。

 また、ハマスに連帯するイエメンの親イラン武装組織フーシ派のアブドルマリク・フーシ指導者は16日、イスラエルが合意を守らなければ、引き続きイスラエル領内などへの攻撃を行う考えを示した。

 フーシ派は2023年10月にガザ地区の戦闘が始まって以降、イエメン近海を航行する船舶やイスラエル領内に攻撃を繰り返してきた。フーシ氏はこれまでにミサイルや無人機計1225発を発射したと主張している。【エルサレム松岡大地、カイロ金子淳】

毎日新聞

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