独房収容の尹氏 韓国捜査当局、強制取り調べ検討 勾留最長2月7日

2025/01/20 18:41 

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 「非常戒厳」を巡り内乱などの容疑で逮捕された韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は19日、ソウル拘置所の独房に身柄を移された。裁判所が同日に勾留継続を認める令状を発付したことに伴う措置。また、尹氏を逮捕した高官犯罪捜査庁(高捜庁)は19日、証拠隠滅の恐れがあるとして、尹氏が弁護人以外と接見することを禁止した。尹氏は妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏を含む家族や親族とも面会できなくなった。

 尹氏は逮捕された15日、取り調べに黙秘権を行使し、16日以降は取り調べ自体に応じていない。高捜庁関係者は20日、尹氏を強制的に拘置所から連れ出して高捜庁の庁舎で取り調べをすることを検討していると述べた。一方で、検事が拘置所を訪問する方法も選択肢の一つだという。

 また、高捜庁関係者は20日、今回の令状の期限が28日までだとも説明した。裁判所に追加申請して許可されれば2月7日まで勾留できるという。高捜庁にこの事件で起訴権はなく、検察が同日までの起訴を目指す。高捜庁と合同で捜査する警察は20日、大統領府などの家宅捜索に着手した。戒厳令宣布に関連した書類などの押収を図ったとみられる。

 尹氏は逮捕された15日から、京畿道義王市にあるソウル拘置所に収容されている。「待機室」に入れられ、監視カメラが24時間稼働する環境で生活。食事は他の被収容者と同じものが提供された。

 聯合ニュースによると、尹氏は勾留継続が決まると、広さ10平方メートルあまりの独房に移された。聯合や朝鮮日報などによると、尹氏は私服から、胸付近に収容番号がついた被収容者用の衣服に着替えさせられた。また、「マグショット」(容疑者の顔写真)を撮られ、指紋も採取されたという。

 一方で、現職大統領であることによる特別待遇もある。尹氏は待機室にいた時と同様、他の被収容者との接触がないよう拘置所側が配慮。また、独房がある保安区域内では拘置所側が専任チームを作り尹氏の身辺保護に当たる。保安区域外は大統領警護庁の要員が保護を担う。尹氏が拘置所と捜査機関などの間を移動する際は前後を警護車が守り、車列が通る車線は一般車両の通行を規制する。

 拘置所の入り口付近では尹氏の熱狂的支持者が断続的に集会を開き、尹氏の釈放を求めている。

 近年では朴槿恵(パククネ)氏と李明博(イミョンバク)氏も、大統領退任後に刑事事件で逮捕され拘置所に収容された。2017年に収賄や職権乱用などの容疑で逮捕された朴氏は、ソウル拘置所の約10平方メートルの独房に入れられた。収賄などの容疑で18年に逮捕された李氏も、ソウル東部拘置所の約13平方メートルの独房で生活した。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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