トランプ政権、パリ協定再離脱を表明 風力発電向け土地貸与も禁止へ

2025/01/21 07:38 

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 米トランプ政権は20日、地球温暖化の国際枠組み「パリ協定」から再び離脱すると表明した。トランプ大統領の就任直後にホワイトハウスが発表した。

 「バイデン政権の急進的な気候変動政策を終わらせる」とし、化石燃料や鉱物などの開発をめぐる規制緩和を進める。また、風力発電のために連邦政府が管理する土地の貸与を停止する。世界一の経済大国で脱炭素推進に大きなブレーキがかかりそうだ。

 トランプ氏は就任演説で「国家エネルギー緊急事態」を宣言。石油や天然ガスの増産を通じて、エネルギー価格を大幅に引き下げ、物価上昇(インフレ)を抑える考えを示した。

 ◇暗に批判の声も

 パリ協定は、世界の平均気温の上昇を2度より十分低く、できれば1・5度に抑える目標を掲げ、すべての参加国に温室効果ガスの排出削減を求める。トランプ氏は政権1期目にも「米国にとって不利」だとしてパリ協定を離脱し、バイデン前大統領が就任初日に復帰した経緯がある。

 国連気候変動枠組み条約のスティル事務局長は声明で、クリーンエネルギーへの投資は世界各国で急成長し、大きな利益や雇用をもたらしていると強調。「これを無視すれば、莫大な富が競合国経済に流れるだけだ」として、気候変動対策に背を向ける米国の再離脱を暗に非難した。

 世界気象機関(WMO)によると、2024年の世界平均気温は観測史上最も暑く、産業革命前の水準と比べて1・55度上回った。【ワシントン八田浩輔】

毎日新聞

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