「風車は鳥を殺す」? 風力発電を敵視、トランプ氏の根拠欠く主張

2025/01/29 07:00 

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 「風車は鳥を殺す」。トランプ米大統領は20日の就任式直後、支持者を前にこう発言し、政権として風力発電を推進しない方針を明らかにした。「脱炭素」の有力な手段である風力発電は、本当に鳥を殺しているのだろうか。

 風力発電施設への鳥の衝突死は避けられない。ただし、それは高層建築なども同様だ。

 英オックスフォード大などの研究者が運営する「アワー・ワールド・イン・データ」のデータ科学者、ハンナ・リッチーさんは、鳥の衝突死をめぐる複数の査読済みの科学論文を分析した。

 それによると、米国で1年間に風力発電所に衝突して死ぬ鳥の数は、猫による捕獲や高層建築、車への衝突などで死ぬ数の合計の数千分の1と推定されるという。

 アメリカン・クリーン・パワー協会のグルーメット最高経営責任者は「風力発電は、国家安全保障の鍵となる製造業やデータセンターの電力需要の急増に対応するために不可欠だ」とし、トランプ氏の方針を「米国の企業や労働者に損害を与える」と批判。エネルギー政策には党派を超えた一貫性が必要だと訴えている。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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