ドイツのメルケル前首相、出身政党の党首を異例批判 「方針転換」で

2025/01/31 10:00 

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 2月23日に総選挙を控えるドイツのメルケル前首相は30日、移民・難民政策の厳格化を求める決議案を右派政党との協力で可決させた最大野党「キリスト教民主同盟(CDU)」のメルツ党首を「間違っている」と批判した。CDU出身のメルケル氏は2021年の政界引退後は政治的発言を控えており、出身政党を批判するのは異例だ。

 CDUと姉妹政党の「キリスト教社会同盟(CSU)」で作る野党統一会派は29日、入国許可のない人物の入国拒否などを求める決議案を連邦議会に提出。メルツ氏がこれまで政策協力を否定していた排外主義的な右派「ドイツのための選択肢(AfD)」が賛成したことで可決された。メルツ氏の「方針転換」を与党などは批判している。

 メルケル氏は声明で「AfDの票によって過半数を可能とすることは間違っている」と断じ、「全ての民主的な政党が戦略的な駆け引きではなく、誠実に、穏健な言葉で」移民・難民対策にあたるべきだと述べた。

 05~21年に首相を務めたメルケル氏は在任中、積極的に難民を受け入れた。ショルツ現首相はその路線を引き継いだが、メルツ氏は受け入れの厳格化を公約に掲げる。今月22日には南部アシャッフェンブルクでアフガニスタン出身の男が男児らを刃物で殺傷する事件があり、メルツ氏は対策の必要性を主張している。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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