中国、対米共闘のロシアを下支え 米欧にくさび、国際協調路線へ

2025/02/23 17:49 

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 ロシアによるウクライナ全面侵攻は24日で開始から3年。ロシアと関わりが深い国々の状況をまとめた。 

 ロシアによるウクライナ侵攻後、中国は中立の立場を主張しつつも、対米共闘の重要なパートナーであるロシアが弱体化しないよう下支えしてきた。

 経済面でも米欧が科す厳しい対露制裁に反対を表明して中露貿易を拡大。中国税関当局によると、中露の2024年の貿易総額は、2448億ドル(約36・7兆円)と過去最高を更新した。侵攻前の21年の1・67倍で、中国が輸入するロシア産の原油や天然ガスによってロシアの戦費が賄われている状況だ。中国が輸出する軍民両用物資がロシアの軍事産業の強化につながっているとの批判も続いている。

 ロシア寄りの姿勢を続ける習近平指導部だが、一方で欧州との関係は悪化させたくないとの思惑もにじむ。ウクライナでの停戦に向けて、トランプ米政権が独断的に進める米露交渉にウクライナや欧州各国が警戒感を強める中、ドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議で演説した王毅外相兼共産党政治局員は「戦争は欧州の地で起きている。欧州が重要な役割を果たすべきだ」と述べるなど欧州に配慮を示した。中国としてはトランプ氏の「頭越し」の米露交渉で、米欧の関係に亀裂が生じる中、そこにくさびを打ち込む思惑もある。ウクライナの戦争終結後の復興などを見据え、欧州で存在感を示す狙いもありそうだ。

 また「米国第一主義」を掲げるトランプ政権に対抗するように、習指導部は、国際協調を重視する姿勢を鮮明にしている。ルビオ米国務長官が不在の主要20カ国・地域(G20)外相会合で、王氏は「我々はともに多国間主義の擁護者でなければならない」と呼びかけて、各国と連携する姿勢をアピールしてみせた。

 習指導部としては、自国の利益を最優先するトランプ政権との違いを際立たせることで、国際社会での影響力をさらに高めたい考えだ。【北京・岡崎英遠】

毎日新聞

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