台湾で複合災害演習 インフラ爆発と津波想定 「全民防衛」の一環

2025/03/27 19:16 

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 台湾政府は27日、重要インフラの爆発と津波が相次いで発生する複合災害事態を想定した演習を南部・台南市で行った。頼清徳政権は戦争や天災に備えて一般市民も含めた社会全体が対応能力を高める「全民防衛」を掲げていて、演習はその一環。

 市内の港にある施設で原因不明の爆発が起きて約200人が死傷し、翌日には台湾南方沖のフィリピン海溝を震源とする大地震が発生して台湾南部に津波が押し寄せるという想定で行われた。

 警察や消防、ボランティア団体や地域団体など約1500人が参加した。軍をできるだけ投入しない条件下で、民間の対応力や地方自治体との連携を高める狙いがある。

 爆発による死傷者が拡大して医療機関が対応しきれないシナリオでは、港近くの広場にテントを立てて臨時の病院を開設。救急車で次々に運び込まれる負傷者役を負傷の程度で治療の優先度を決める「トリアージ」をして、治療を行うエリアに運び込んだ。

 津波を想定した訓練では、第1波で沿岸の民家が被害を受ける中、第2波に備えて住民を近くの高校に避難させる流れを確認した。

 視察した頼総統は「自然災害や地域政治の変化などに備えて、準備をしないわけにはいかない」とあいさつ。「軍の力だけでなく、社会全体の対応能力や台湾の安全を守る実力を示すことで平和の目標を達成したい」と述べた。【台南・林哲平】

毎日新聞

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