韓国大統領の罷免 尹政権で日韓関係は改善も、内政では混乱

2025/04/04 18:14 

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 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が4日、罷免に追い込まれた。進歩系の文在寅(ムン・ジェイン)政権(2017~22年)で悪化した日韓関係の改善など外交面では一定の成果があったが、内政では思うように結果が出せず、支持率が次第に低下。野党が多数を占める国会での苦境を打開しようと非常戒厳の宣布という違憲の手法を取ったことで、任期半ばでの退場となった。

 尹氏は検事総長を経て22年3月の大統領選に当時は野党だった保守系の「国民の力」から出馬し、進歩系の「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏を0・73ポイントの僅差で破って初当選した。尹氏は任期中、懸案だった元徴用工問題で解決策を示し、日韓のシャトル外交を復活させるなど、日韓関係を改善の軌道に乗せた。また米国との関係も強化。核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対抗するため、23年の米韓首脳会談では米国が核戦力を含む抑止力を提供する「拡大抑止」の強化に関する共同宣言を発表した。一方で、北朝鮮との「平和共存」を掲げた文政権を批判し、対北朝鮮で強硬姿勢を続けた。

 内政では、共に民主党が国会で過半数を占める状況に苦しんだ。周囲の意見に耳を貸さないと批判され、妻の金建希(キムゴンヒ)氏を巡るさまざまな疑惑も重なり、支持率が低下。24年2月には長年の懸案となっていた大学医学部の定員増を発表したが、医師らがストライキを続けるなど混乱を招いた。同年4月の総選挙で国民の力は国会での過半数獲得を目指したが、惨敗した。

 国会議席の6割近くを握る共に民主党は、自らの方針に沿わない検事や監査院長ら20人以上を次々と弾劾訴追。予算案の審議では、一部の予算を削減するなどした。尹氏は「野党による議会独裁だ」と一方的に批判し、これを阻止するためなどと主張して24年12月3日に「非常戒厳」を宣布した。国会ではその11日後、与党の一部も賛成に回って尹氏に対する弾劾訴追案が可決された。

 尹氏は25年1月には非常戒厳を巡り内乱首謀罪で起訴されており、刑事裁判は続く。罷免によって内乱罪と外患誘致罪を除き訴追されないとの大統領特権を失うため、非常戒厳を巡り職権乱用罪でも追起訴される可能性がある。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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