韓国与党、大統領候補を韓前首相に差し替え方針 金氏は反発

2025/05/10 11:32 

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 韓国の保守系与党「国民の力」は10日、大統領選(6月3日投開票)の候補について、金文洙(キム・ムンス)前雇用労働相(73)の公認を取り消し、候補を交代すると決定した。そのうえで、新たな候補を韓悳洙(ハン・ドクス)前首相(75)にするとの方針を示した。無所属だった韓氏は10日、国民の力に入党した。

 保守系候補の円満な早期一本化は実現せず、国民の力の党執行部が強引な手法を取った形だ。反発する金氏は10日、ソウル南部地裁に対し、公認取り消しの効力を停止する仮処分を申請した。

 一方、世論調査でリードする進歩系野党「共に民主党」の公認候補、李在明(イ・ジェミョン)氏(61)が10日、立候補を届け出た。韓、金の両氏がそろって立候補すれば保守系の票が割れ、李氏がさらに有利な展開となる可能性が高いため、国民の力は一本化を急いでいた。

 国民の力は、党員を対象に10日、候補交代の賛否を問う世論調査を実施する。聯合ニュースによると、過半数の賛成を得られれば、11日に党幹部らの会議を開き、韓氏を正式に党公認候補に決める。大統領選の候補者登録(届け出)は11日に締め切られる。

 国民の力の党内予備選には8人が出馬し、金氏が勝ち抜いた。その間に韓氏が無所属での出馬を表明していた。金氏は10日、「我が党の民主主義は死んだ。違法な措置に対し、ただちに政治的、法的措置に取りかかる」と激しく反発した。

 世論調査では韓氏の支持率が金氏を上回る結果が多い。国民の力執行部は韓氏を公認候補とするシナリオを描き、金氏に党の世論調査に基づく一本化に応じるよう強く求めてきた。韓氏と金氏は7、8の両日、一本化に向けて協議したが合意できなかった。

 選挙制度上、届け出締め切り後に、どちらかが出馬を取り消して一本化することも可能だ。このため金氏は、2人とも届け出て論戦をした後、世論調査に基づいて一本化を図るよう求めていた。ただ、国民の力幹部は10日、「最近実施した世論調査で党員の87%が届け出前の一本化を求めていた」と説明した。

 コリアリサーチなど4社が共同実施して8日に発表した世論調査では、共に民主党の李氏が他の候補をリードしている。李氏、金氏と、保守系野党「改革新党」から出馬予定の李俊錫(イ・ジュンソク)氏(40)の3者対決の場合では、李在明氏43%、金氏29%、李俊錫氏7%だった。

 一方、李在明氏、韓氏、李俊錫氏の対決の場合では順に44%、34%、6%となった。国民の力は今後、李俊錫氏も巻き込んだ保守勢力の結集を図る方針だ。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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