「トランプ減税」恒久化法案の賛成求め、与党議員を本人が異例の説得

2025/05/21 15:47 

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 トランプ米大統領は20日、連邦議会で下院共和党議員団の会合に出席し、成立が危ぶまれている「トランプ減税」恒久化など政権の目玉政策を盛り込んだ法案への賛成を要請した。大統領が議員説得のために議会に直接出向くのは異例。下院共和党指導部は近く本会議で採決に臨みたい意向だが、意見集約に難航しており、トランプ氏が引き締めを図った。

 「(法案を支持しなければ)共和党員として長くはいられないだろう。すぐに倒されるはずだ」。会合前に記者団の取材に応じたトランプ氏は、法案に反対した議員に次の選挙で「刺客」の擁立を示唆。会合後には、「素晴らしい結束ぶりだった。我々は大勝利を収められると思う」として法案の下院通過に自信を見せた。

 米メディアによると、トランプ氏は非公開で行われた会合で法案を修正する考えがないことを強調し、無条件の支持を求めたという。しかし、会合後に複数の出席議員から「大統領は法案に対する党内の十分な理解を得られていない」(ハリス議員)などとする声が上がったという。

 法案には2017年に導入され、25年末に一部失効する「トランプ減税」の恒久化や、サービス業の従業員へのチップや残業代の非課税化など24年大統領選の公約が多く盛り込まれている。減税分の財源確保のために低所得者向け公的医療保険「メディケイド」の歳出削減なども含まれているが、財政悪化を懸念する共和党の保守強硬派はさらなる削減を要求。民主党が優勢な選挙区の議員たちは州・地方税の控除拡大も求めている。

 16日の下院予算委員会では民主党に加え、身内の共和党からも反対が出て否決された。下院で法案審議を主導するジョンソン議長(共和党)の説得により18日の再採決で承認された。ジョンソン氏は本会議で26日までの可決を目指している。下院の構成は共和党220議席、民主党213議席。共和党から4人が「造反」すれば法案通過が阻まれることになる。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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