北京で「三菱友誼杯」開催 障害者スポーツが日中交流の懸け橋に

2025/05/21 17:12 

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 障害者スポーツが日中交流の懸け橋の一つとなっている。北京市では20日、三菱グループが支援してきた障害者サッカー大会「三菱友誼杯」が開かれた。17の省・市・自治区から約300人の選手が参加し、今秋には東京で聴覚障害者スポーツの国際大会「デフリンピック」、来年は名古屋でアジアパラ競技大会が予定される中で、障害者スポーツを巡る交流と協力の雰囲気が高まった。

 大会は三菱グループの企業15社が協賛し、中国の障害者団体と共催。2015年から始まり今年が9回目となる。

 参加者は聴覚障害、視覚障害、知的障害の3部門に分かれて各部門の優勝を目指す。結果はアジアパラ競技大会の選考材料となる。福建省の視覚障害チームの選手、袁子棋さん(16)は「しっかりと練習して、来年日本で開催されるアジアパラに出場できるようがんばりたい」と話した。

 中国では08年の北京パラリンピックをきっかけに、国が主導して障害者スポーツの発展に力を入れてきた。24年のパリ・パラリンピックでも合計220個のメダルを獲得、2位の英国(124個)を大きく引き離している。

 一方で、民間レベルで障害者スポーツの普及をどう進めていくかは課題だった。三菱商事の西野裕史・中国総代表は15年に大会を始めたきっかけについて「スポーツを通じて障害者の方々が希望を持って社会参加できるよう人生をサポートしたかった」と語る。大会への参加者は年々拡大し、草の根での障害者スポーツの拡大に一役買った形だ。

 政府間でも日中両国はスポーツ分野で連携を進めている。24年12月に東京で開かれた日中韓スポーツ大臣会合では「パラスポーツの振興による共生社会の実現」を共同声明に盛り込み、関係機関間の相互連携と情報共有、共同事業の実施などを確認した。

 サッカー大会の開会式に参加した中国障害者連合会の尤亮副理事長は「(東京開催の)デフリンピックに向けてトレーニングと選手選考を進めている」と述べ、「(障害者スポーツの)先進技術分野で日本と協力していきたい」と強調した。これに対し、金杉憲治駐中国大使は「日中の交流をさまざまな機会で進められるのは良いことだ」と応じた。【北京・松倉佑輔】

毎日新聞

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