中国・パキスタン外相が「鉄壁の友情」確認 インドの警戒招くリスク

2025/05/21 17:56 

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 中国の王毅外相兼共産党政治局員は20日、北京市でパキスタンのダール外相兼副首相と会談し、双方は「鉄壁の友情」と呼ぶ緊密な協力関係を確認した。カシミール地方の領有権争いを背景にインドとパキスタンが武力衝突した後、パキスタン外相が訪中するのは初めて。近隣諸国への影響力を誇示する中国だが、インドの警戒心を招くリスクもはらむ。

 中国外務省によると、王氏はダール氏との会談で「パキスタンが国家主権と領土保全を守ることを断固支持する」と表明。ダール氏がインドと停戦で合意した後の状況を説明すると、王氏は「対話を通じた解決」を支持した。

 両外相は21日、アフガニスタンを支配するイスラム主義組織タリバン暫定政権のムッタキ外相を加えた3者による外相対話も北京市で開催した。

 印パの衝突を巡り、中国は両国に自制を呼びかけてきたが、パキスタンの後ろ盾という立場は明らかだ。パキスタンの軍備は中国製兵器が主力を担い、両国は合同軍事演習を重ねている。パキスタン政府は今回の衝突で、中国製戦闘機「殲(J)10」がインド空軍機を撃墜したと発表し、中国国営中央テレビも「実戦での初の戦果」と報じた。

 ただ、こうした中国の動きにインドは神経をとがらせている。駐中国インド大使館はX(ツイッター)への投稿で中国メディアに「偽情報を流す前に事実の確認を」と警告を発した。

 本来、米国との持久戦に備える中国政府はインドとの対立は望んでいない。昨年10月に、5年ぶりに習近平国家主席とインドのモディ首相の公式会談が実現し、国境紛争で冷え込んでいた中印関係の修復に動いていたところだった。

 習指導部は印パの衝突を通じて間接的に軍事面での実績を強調した格好だが、外交面では微妙な立場に置かれたとも言えそうだ。【北京・河津啓介】

毎日新聞

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