ハマス側、最高幹部死亡を否定 「イスラエルの虚偽」と反発

2025/05/29 07:06 

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 イスラエルのネタニヤフ首相は28日、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの最高幹部、ムハンマド・シンワル氏を殺害したと発表した。ムハンマド氏は、昨年10月に殺害された最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏の弟で、兄の死後は軍事作戦や停戦交渉を指揮していたとされる。ハマス壊滅を進めるイスラエルにとっては、大きな「戦果」となる。

 イスラエル軍は今月13日、ガザ地区南部ハンユニスの「ヨーロピアン病院」を空爆。地下にある司令部にムハンマド氏がいたと主張していた。同氏は強硬派として知られ、2023年10月のイスラエル南部への越境攻撃を主導した中心人物の一人とされる。

 一方、ハマス幹部はムハンマド氏の死亡を否定。「病院の空爆を正当化するためのイスラエルの虚偽だ」と反発している。

 こうした中、戦闘の長期的な収束に向けた動きも続く。米国のウィットコフ中東担当特使は28日、「非常に良い感触を持っている」と述べ、近く新たな停戦案を提示する考えを示した。

 ハマスも同日、恒久的な停戦に向けた提案について、ウィットコフ氏との間で「大筋で合意」したと発表。合意には、イスラエルによるパレスチナ人の釈放と引き換えに、人質10人と遺体を引き渡すことなどが含まれているという。

 ただ、イスラエルメディアはイスラエル当局者の話として、米国とハマスの間の交渉に「実質的な進展はない」と報じており、依然として認識には開きがある。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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