自衛隊機、日本人退避に備えジブチ待機へ 中東の軍事衝突激化

2025/06/19 18:03 

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 イスラエルとイランの軍事衝突が激化する中東からの邦人退避に備え、中谷元・防衛相は19日、航空自衛隊の輸送機をアフリカ東部のジブチに派遣して待機させるよう、南雲憲一郎・統合作戦司令官に命じた。

 防衛省によると、派遣するのはC2輸送機2機と、空自と陸上自衛隊の隊員約120人。準備が整い次第、美保基地(鳥取県)を出発し、ジブチで待機する。ジブチには自衛隊の海賊対処活動の拠点があり、これまでも空路による邦人退避の拠点になってきた。

 自衛隊法の規定では「外国における災害、騒乱その他の緊急事態」に際し、防衛相は外相からの依頼に基づいて輸送を行うとされる。岩屋毅外相が19日、中谷氏に自衛隊の派遣準備を依頼した。現地での輸送は、自衛隊機の離着陸について当該国の同意を得た上で、危険回避の方策が講じられるのかを防衛相と外相で協議し、実行に移される。

 中谷氏は19日、臨時記者会見を開き「在外邦人の安全に万全を期すため、現下の中東情勢を踏まえ、取りうる対応は幅を持って検討していく」と述べた。

 空自機派遣に先立ち、防衛省は19日未明、中東における空港利用などの調整を担う先遣隊として約10人を派遣した。省内には、イスラエルとイランの攻撃の応酬が続く間は、両国と近隣国の領空が閉鎖された状況が続くため「C2の活用は非常に困難」(制服組)との見方もある。

 制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長は19日の定例記者会見で「『ここぞ』というタイミングに間に合わなければ機会を失ってしまう」とし、中東に近いジブチに空自機が前進待機する重要性を強調。一方、現地でのオペレーションについては「今の段階では全く予見できない」と述べるにとどめた。また18日以降、平時から連携している国々の参謀総長らと情報共有し、必要に応じて相互に協力する意思疎通を図っていることも明らかにした。

 邦人退避を巡っては、イスラエルとイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘激化を受けて2024年10月、レバノンに空自機を派遣し、邦人らを近隣のヨルダンに運んだケースなどがある。【松浦吉剛、中村紬葵】

毎日新聞

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