割れるトランプ氏支持基盤 イラン攻撃、軍事介入の是非巡り対立
米軍によるイラン攻撃が取り沙汰される中、その是非を巡りトランプ米大統領の支持基盤が割れている。国内問題を最優先する「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)」派の多くは攻撃に反対する。一方で、キリスト教福音派の有力者らは攻撃を支持し、与党・共和党内でもイランに強硬な保守派議員がトランプ氏の姿勢を支持する。対応次第では今後の支持に影響しかねないだけに、難しい決断を迫られそうだ。
「(MAGAの)核心的な理念の一つは、泥沼の戦争はしないことだ」。AP通信によると、トランプ氏の元側近でMAGAを推進してきたスティーブ・バノン元首席戦略官は、ワシントンでの講演でこう強調した。
また、ブッシュ(子)元米政権が始めた2003年のイラク戦争での苦い経験が、16年のトランプ氏の大統領選出馬とMAGAが伸長する原動力になってきたとも述べた。
他国の紛争への軍事介入を否定する考えは、MAGAの基本理念だ。01年の米同時多発テロ以降、米国はアフガニスタンとイラクで戦争を始めたが、泥沼化して疲弊した。MAGAはこうした経緯を土壌に、他国への関与を否定し、米国民がないがしろにされてきたと訴えることで台頭してきた。仮に米軍がイランを攻撃すれば、報復を招き、結果的に長期的な紛争に引きずり込まれるとの懸念は根強い。
トランプ氏の「応援団」として知られる保守系テレビ局FOXニュースの元キャスターのタッカー・カールソン氏も軍事攻撃に反対し、「イランとの全面戦争が起これば、トランプの大統領職は事実上終わる」とまで言及する。
ただ、MAGAの中でも「攻撃計画」を擁護する人もいる。トランプ氏に近い右派活動家でユダヤ系のローラ・ルーマー氏はX(ツイッター)で、「(イランの)核施設に対する一度の空爆は全面的な戦争ではない。なぜこれを理解するのが難しいのか」と書き込んだ。
トランプ氏の強固な支持基盤の一つのキリスト教福音派は宗教的な理由で親イスラエルの立場を取る。「トランプ氏がイランの交渉担当者や孤立主義者に操られることを許すとは思えない」。「イスラエルのためのキリスト教徒連合」を率いる福音派牧師のジョン・ハギー氏はFOXニュースにこう指摘し、イランの「無力化」のために必要なことをすべきだとした。
さらに、共和党内の対イラン強硬派も、トランプ氏の攻撃を排除しない姿勢を評価する。トランプ氏に近いリンゼー・グラム連邦上院議員は17日のFOXニュースで、「イランの核開発計画を破壊できれば、歴史的な出来事になる」と主張した。
支持層の意見が対立する中、バンス副大統領はトランプ氏の決断への支持を呼びかけた。17日のXで「過去25年の愚かな外交政策があった後で、人々が外国に巻き込まれることを懸念するのは当然だ」と指摘。その上で「(トランプ氏が)米軍の力を米国民の目標達成のために使うことだけに関心を払っていると保証する」と訴えた。【ワシントン松井聡】
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