イスラエル軍、ガザ市郊外を占領 「ハマス壊滅」へ軍事的圧力

2025/08/21 08:45 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 イスラエル軍のデフリン報道官は20日、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦闘で、地上部隊が北部ガザ市の郊外を占領したと発表した。ネタニヤフ首相は20日、軍に対して「ハマス壊滅」に向けたスケジュールの短縮を指示した。軍事的圧力を強め、停戦交渉を有利に運ぶ狙いがあるとみられる。

 停戦交渉を巡っては、ハマスは18日、60日間の一時停戦と拘束中の人質の約半数の解放を受け入れると発表。イスラエルは回答を示していない。イスラエルの民放「チャンネル12」は20日、イスラエルのデルメル戦略問題相がパリで仲介国カタールの高官と会談し、「人質全員の解放」を条件に挙げたと報じた。イスラエルはガザ市制圧を急ぎ、ハマスにさらなる妥協を迫る可能性がある。

 ガザでは激しい戦闘が続いており、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、20日だけで少なくとも81人が死亡した。

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は20日、X(ツイッター)への投稿で、ガザ市の子供のうち3人に1人が栄養失調に陥っていると明らかにした。3月にイスラエル軍が戦闘を再開してから「6倍に増えた」と指摘し、「これは天災ではない。防ぐことのできる人為的な飢餓だ」と訴えた。【カイロ金子淳】

毎日新聞

国際

国際一覧>