米エプスタイン事件、被害者が政府に資料公開要求 与党内にも不満

2025/09/04 16:00 

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 少女らへの性的虐待罪などで起訴されて2019年に勾留施設内で死亡した米富豪エプスタイン氏が関与した事件の被害女性ら約10人が3日、首都ワシントンの連邦議会前で記者会見した。女性らはエプスタイン氏と親交のあったトランプ大統領に対し「権限と影響力を行使してほしい」と訴え、捜査資料を含む事件に関する資料の全面公開を求めた。

 女性らは、10代の頃にエプスタイン氏の自宅でマッサージなどの仕事のあっせんを受けて、被害に遭ったなどと証言。事件にはエプスタイン氏に協力したり、加担したりした「お金持ちや権力者たちがいる」と主張し、「情報公開の透明性が必要だ」などと訴えた。

 米下院監視・政府改革委員会は2日、司法省が被害者の個人情報などを削除した上で提出したエプスタイン氏に関する3万ページ超の資料を公開した。ホワイトハウスと共和党指導部は今後も順次公開を進めるとして事件の幕引きを図るが、被害者の会見に同席した共和党のマッシー下院議員は「司法省は相当な部分を削除している」などと批判。野党・民主党と超党派で迅速な全面公開を実現する法案の採決に向けて動いている。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ政権はマッシー氏らの行動を「非常に敵対的」とみなし、法案採決の阻止を図っている。トランプ氏は3日、事件が民主党による「終わりのないでっち上げだ」と主張。「既に十分に(情報を)公開している」とし、資料の全面公開に応じない考えを示した。女性たちは会見で「でっち上げではない。虐待は事実だ」と反論した。

 エプスタイン氏を巡っては、トランプ氏の熱心な支持層である「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)」派の一部で、「少女買春などに関する著名人の『顧客リスト』があり、エプスタイン氏は有力者に口封じのため殺害された」という陰謀論が定着している。

 トランプ政権は今年1月の発足当初、保有資料の情報公開に前向きな姿勢を示し、一部を公開したこともある。ところが7月に追加の情報公開はしない方針に転じ、「顧客リスト」の存在も否定したため、MAGA派の一部から批判が噴出した。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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