米特殊部隊、19年に北朝鮮へ極秘上陸作戦に失敗か 米紙が報道
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は5日、2019年初頭に米海軍特殊部隊SEALS(シールズ)が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(当時)の会話を傍受するため、北朝鮮の海岸に上陸する極秘作戦を試みたが失敗したと報じた。北朝鮮の民間人に見つかりかけたため、殺害して撤収したとされる。作戦は2回目の米朝首脳会談開催前に実行され、明るみに出れば朝鮮半島で大規模な軍事衝突に発展する恐れもあった。現在も機密扱いとされているという。
政府・軍関係者20人以上の話としている。NYTによると、作戦の準備は18年秋、トランプ大統領が承認して始まった。同年6月に史上初の米朝首脳会談が開催され、北朝鮮の核問題を巡る両国の関係は極度の緊張状態から対話モードへと急転していた。米情報機関にとって金氏の真意の把握が最重要課題だったが、内部協力者の獲得などはほぼ不可能だったという。
そこで、金氏の会話を傍受できる電子機器を開発。国際テロ組織アルカイダの最高指導者だったビンラディン容疑者の殺害計画を実行したシールズの精鋭部隊「チーム6」が、北朝鮮沖に停泊した原子力潜水艦から小型潜水艇2隻で海岸に接近し、隊員8人が泳いで上陸、機器を設置する計画だった。シールズはブッシュ(子)政権下の05年にも上陸作戦を成功させたことがあったという。
数カ月間、船舶や人の出入りなどを調べた上で、最も遭遇リスクの低い上陸地点を選定。極寒の夜間、北朝鮮沖に停泊した原潜から小型潜水艇に乗り込んだ隊員たちは上陸に成功した。ところが2隻目の隊員が手間取る間に、近づいてきた北朝鮮の船が付近をライトで照らし、乗っていた1人が海に潜ったという。
陸上の隊員は船に向けて一斉に発砲し、全員の死亡を確認した。いずれも非武装で、格好から漁師と判断されたという。作戦は中断され、遺体を海に沈めて原潜に引き返した。
その後、米軍の偵察衛星では現場周辺で北朝鮮軍の軍事活動が確認されたが、北朝鮮当局が事態を把握したかは不明。トランプ氏は19年2月末、ベトナム・ハノイで金氏と2回目の首脳会談に臨んだが、非核化を巡る交渉は決裂した。
作戦は第1次トランプ政権下で秘密裏に検証されたが、民間人殺害は交戦規定の下で正当化され、作戦失敗は予測困難な「不運な出来事」が重なった結果と結論付けられたという。連邦議員にも伏せられたが、21年にバイデン前政権が改めて独立委員会で検証し、主要議員に説明したという。NYTは、政府が議会への重大事態の説明を回避すれば、連邦法に違反する可能性があるとしている。
5日、ホワイトハウスで記者団の取材に応じたトランプ氏は「何も知らない。初めて聞いた」などと繰り返して質問をかわした。【ワシントン金寿英】
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