「核を決して放棄しない」 北朝鮮高官が国連で演説

2025/09/30 07:10 

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 北朝鮮の金先敬(キム・ソンギョン)外務次官が29日、国連総会の一般討論で演説し、「我々は核を決して放棄せず、いかなる状況でもこの立場を撤回しない」と訴えた。「北朝鮮への『非核化』の強要は、主権と生存権の放棄を要求するに等しい」とも述べ、核開発を正当化した。

 国連総会で、北朝鮮が本国から派遣した代表が演説するのは7年ぶり。第1次トランプ政権の2019年に米朝首脳会談が決裂した後は高官を派遣せず、国連大使が登壇してきた。

 演説で金次官は、日米韓の軍事協力が加速していると指摘し、「わが国の物理的戦争抑止力のおかげで、朝鮮半島における力の均衡が確保されている」と主張した。各地で続く紛争を巡っては、イスラエル軍にパレスチナ自治区ガザ地区からの撤退を呼びかける一方、ロシアによるウクライナ侵攻には言及しなかった。北朝鮮はロシアを支援するためウクライナ戦線に派兵し、見返りとして軍事関連技術などの支援を受けたとみられている。

 国連改革では、「西側主導の不適切な構造の是正が不可欠だ」と述べ、安全保障理事会の改革が必要との認識を示した。各国が30年までの達成を目指す国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも触れ、「一国の利益に合致しないという理由で否定されている」と述べ、SDGsを拒絶するトランプ政権を暗に非難した。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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