米大陪審、トランプ大統領の政敵を起訴 2人目はNY州司法長官

2025/10/10 17:11 

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 米連邦大陪審は9日、東部ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官を銀行詐欺などの罪で起訴した。ジェームズ氏は2022年にトランプ大統領と一族が経営する企業の資産価値を過大申告して不当に利益を得ていたとして民事訴訟を起こした。トランプ氏が9月にボンディ司法長官に名指しで捜査を求めて起訴された政敵は元連邦捜査局(FBI)長官のコミー氏に次いで2人目。

 トランプ氏は、ジェームズ氏が起こした訴訟の1審判決で約3億5000万ドル(約535億円)の支払いを命じられた。今年8月の2審判決では「不正行為に見合わない過剰な罰金」だとして支払い義務は免れたが、法的責任に対する判断は追認された。トランプ氏は訴訟が「政治的な魔女狩りだ」としてジェームズ氏に対する敵意を繰り返し表明していた。

 起訴状によると、ジェームズ氏は20年8月~24年1月、南部バージニア州で住宅を取得する際に虚偽のローン申請書類を金融機関に提出して不正に低利融資を受けたなどとされる。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、起訴状にサインしたハリガン連邦検事はトランプ氏の元顧問弁護士で、9月に就任するまで検事経験はなかったという。ハリガン氏の前任の検事は、コミー氏やジェームズ氏の事件で起訴に足りる証拠がないとする報告を上げていたという。進展しない捜査に不満を募らせたトランプ氏は9月20日、自身のソーシャルメディアでボンディ氏に対し、ジェームズ氏らを名指しして「彼らは全員有罪だ」と主張。前任の検事を解任し、ハリガン氏を後任に充てたと明らかにしていた。

 コミー氏は20年9月の連邦議会上院司法委員会での公聴会証言に関し、虚偽の陳述をしたなどとする罪で先月、起訴された。8日の起訴内容の認否手続きに出廷したコミー氏は「報復的かつ選択的な起訴」だと訴え、公訴棄却を求めた。ジェームズ氏は9日、X(ツイッター)に投稿した動画で、「大統領の唯一の目的は政治的な報復だ」と指摘。自身の起訴は「大統領による絶望的な司法の武器化の継続ということ以外の何物でもない」と批判した。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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