ガザ人質解放、ユダヤ系大口献金者が働きかけ トランプ氏に影響力

2025/10/14 11:46 

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 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスは13日、生存しているイスラエル人の人質20人を解放した。米メディアによると、トランプ米大統領が人質解放に取り組んできた背景の一つには、あるユダヤ系有力者の働きかけがあったという。

 「彼らは誰よりもホワイトハウスに足を運んでいたと思う。彼女は本当にこの国(イスラエル)を愛している」。トランプ氏は13日のイスラエル国会での演説で、自身の大口献金者でユダヤ系のミリアム・アデルソン氏について、夫で「カジノ王」として知られる故シェルドン氏(2021年死去)にも言及しながらこうたたえた。トランプ氏が傍聴席にいたミリアム氏に賛辞を贈る度に、大きな拍手が起きた。

 欧米メディアによると、ミリアム氏はトランプ氏に対して、ハマスが拘束する人質の解放に取り組むよう水面下で働きかけていた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、人質の家族がトランプ氏に解決への尽力を訴える際に、ミリアム氏が重要なパイプ役を担ったと報じた。

 イスラエル生まれのミリアム氏は、同じくユダヤ系で米国人のシェルドン氏と結婚。夫妻は強硬なイスラエル支持者として知られ、トランプ氏が初当選した16年の大統領選時代からトランプ氏を支援してきた。ミリアム氏は昨年、全米の大学で親パレスチナのデモが拡大した際には「反ユダヤ主義」だと批判し、「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を思い起こさせる」などと語っていた。

 トランプ氏は演説で、第1次トランプ政権(17~21年)が19年に、イスラエルが占領するシリア領ゴラン高原に関してイスラエルの主権を承認した際を振り返り、「(夫妻が)ゴラン高原について考えるきっかけをつくってくれた」と述べた。夫妻はトランプ政権が17年以降、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、大使館を移転した決定にも関与したとされ、トランプ氏に大きな影響力があった。

 トランプ氏は夫妻が頻繁に電話をかけてきてホワイトハウスを訪れていた様子も明かし、「シェルドン氏は押しが強かったが、私を支えてくれた」と謝意を示した。ミリアム氏に関しても「銀行に600億ドル(約9兆円)もある」と冗談めかして言及し、「彼女は素晴らしく、偉大だ」と語った。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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