ハマスが人質2人の遺体引き渡し、あと13人か 「努力続ける」

2025/10/22 08:59 

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 バンス米副大統領は21日、イスラエル南部キルヤット・ガトを訪れ、パレスチナ自治区ガザ地区の停戦を監視するために米国が設けた「民間軍事調整センター」を視察した。

 AP通信などによると、記者会見では停戦について「期待していたよりうまくいっている」と楽観的な見方を示した。22日にはネタニヤフ首相と会談する予定で、引き続き停戦を維持するよう求めるとみられる。

 停戦を巡っては、イスラエルはイスラム組織ハマスが人質の遺体の返還を遅らせていると非難。19日にはハマスの攻撃により兵士が死亡したとして、ガザ各地で大規模な空爆を行った。調整センターには米軍約200人が駐留し、イスラエル側から停戦監視を行っている。

 バンス氏は会見で「ハマスが協力しなければ、トランプ大統領が言うように、ハマスは消滅する」と語り、ハマスに対して武装解除に応じるよう改めて警告した。人質の遺体の返還を巡っては「がれきに埋まっていたり、誰も所在を知らなかったりする人質(の遺体)もある。少し時間がかかるだろう」とイスラエル側に理解を求めた。

 一方、ハマスは21日、新たに人質2人の遺体をイスラエルに引き渡した。ガザにはあと人質13人の遺体が残されているとみられる。

 エジプトを訪問中のハマスの交渉責任者、ハイヤ氏は21日の声明で「(人質の)遺体の発見は極めて困難だが努力を続ける」と述べ、停戦合意を履行する意思を改めて強調した。「仲介国や米国の大統領から、ガザの戦闘終結を確約すると聞いている」とも述べ、停戦維持に尽力する姿勢を示したが、武装解除については触れなかった。

 ガザでは支援物資の搬入が加速しつつある。国連世界食糧計画(WFP)は21日、これまでに26カ所の食料配布拠点を再開させたと明らかにした。今後、145カ所まで増やすとしている。市場に流通する食料なども増えているが、19日にイスラエルが空爆を行ったことから、物価が高騰した。ガザでは銀行やATM(現金自動受払機)はほとんど稼働しておらず、現金の入手が困難な状況が続いているという。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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