トランプ氏、カナダとの貿易交渉を打ち切り レーガン氏の広告で

2025/10/24 17:35 

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 トランプ米大統領は23日夜(日本時間24日午前)、自身のソーシャルメディアに、カナダとの全ての貿易交渉を打ち切ると投稿した。カナダ東部オンタリオ州が、関税に否定的な発言をするレーガン元米大統領の広告動画を出したことを理由にしている。米政権による関税措置の合憲性を巡る訴訟が連邦最高裁で続くなか、関税を重要な外交ツールと位置付けるトランプ氏が反発したとみられる。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、広告は関税が経済を破壊すると非難した1987年のレーガン氏の音声を使用。「市場は縮小・崩壊し、産業は閉鎖されて数百万もの人々が職を失う」などと警告しているという。米国内テレビ2社が今週放映し、今後も複数社が流す予定だった。

 トランプ氏は投稿で「偽広告」だと批判し、「最高裁や他の裁判所の判断を妨害する目的で行われた」と主張。「関税は米国の国家安全保障と経済にとって極めて重要だ。ひどい行為だ」と持論を展開し、カナダとの全ての貿易交渉を終了すると表明した。

 米国は3月、合成麻薬フェンタニルの密輸対策が不十分との理由で、カナダからの輸入品に25%の追加関税を課した。カナダが報復措置を講じると、これに対抗して8月に税率を35%に引き上げた。このまま貿易交渉が再開しなければ、高関税が続く恐れがある。

 オンタリオ州は以前にも「トランプ関税」への報復として、米国に供給する電気の料金を25%引き上げると表明。これに反発したトランプ氏がカナダから輸入する鉄鋼・アルミニウムに他国の2倍の関税をかけると脅した経緯がある。その後、同州が電気料金値上げを一時停止したことで、米政権との対立は沈静化した。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

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