日本や欧州、トランプ米政権のウクライナ和平案「追加の議論必要」

2025/11/23 10:36 

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 トランプ米政権がウクライナに提示した和平計画案を巡り、欧州や日本などのウクライナ支援国は22日、ウクライナの「安全の保証」が十分に確保されていないとして、修正の必要があるとの見解を示した。和平に向け、力によるウクライナ領土の変更を認めない姿勢も改めて表明した。

 英仏独など欧州主要国と日本、豪州、カナダ、欧州連合(EU)は22日、共同声明を発表。米国の計画案の中に「公正で、持続的な和平のための重要な要素が含まれる」と評価する一方、戦闘が続くウクライナ東部ドネツク、ルハンスク両州などのロシアへの割譲を求めている点に懸念を示した。

 「力による国境の変更は認められない」と強調し、計画案には「追加の議論が必要」と主張。また、計画案がウクライナ軍の兵力を現状より20万~25万人少ない60万人に制限している点についても言及し、「将来の攻撃に対しウクライナを脆弱(ぜいじゃく)にする」と指摘した。

 米国が提供するウクライナの「安全の保証」について、詳細が記されていないことも各国の懸念材料となっている。

 米国はウクライナに対し、27日までに計画案に回答するよう求め、圧力をかけている。米国とウクライナ、英仏独の政府高官は23日にスイス・ジュネーブで会合を開き、計画案の詳細を協議する。その結果を踏まえ、欧州のウクライナ支援国は25日に再度、会合を開くという。

 ドイツのメルツ首相は22日、南アフリカで開催中の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会見で、「もしウクライナが戦争に敗れれば、欧州の政治全体に甚大な結果をもたらす」と述べ、「戦争の終結は、ウクライナの完全な同意によってのみ達成できる」と強調した。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は22日のビデオ演説で、「ウクライナの代表団は国益を守る方法や、ロシアによる再度の侵攻を防ぐのに何が必要かを理解している」と語り、協議の進展に期待した。【ブリュッセル宮川裕章】

毎日新聞

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