トランプ氏、米台交流強化の法案に署名 中国「越えてはならぬ一線」

2025/12/04 10:27 

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 トランプ米大統領は2日、米国と台湾の当局者間の接触に関する規定の見直しなどを求める改正法案に署名した。少なくとも5年に1度は国務省の規定などを再検討し、議会に報告することを義務づけた。その際には米台関係の重要性を考慮することも定めた。法案を作成した議会側には、台湾との関係を強化する狙いがある。台湾は歓迎する一方、中国は反発している。

 米国は1979年に中国と国交を正常化し、台湾と断交。中国は「一つの中国」原則を掲げており、米側はこれまで台湾の当局者との接触に関して抑制してきた経緯がある。

 今回成立した法案は2020年の「台湾保証法」を改正するもので、法律名も「台湾保証実行法」となった。米連邦議会では軍拡を続ける中国に対する懸念は超党派で根強く、今春以降、下院と上院で改正法案を可決していた。

 台湾総統府は声明で、改正法を「より緊密な米台関係を支持し、民主主義や自由、人権など共通の価値に基づく強固な絆を象徴する意義深いもの」と評価し、トランプ氏に謝意を示した。ロイター通信によると、台湾の林佳竜外交部長(外相に相当)は、台湾の当局者が米連邦議会を訪問して会議を行うことなどが可能になるとの期待を示した。

 これに対し、中国は反発。ロイターによると、中国外務省は、米台の公的な接触に反対するとし、台湾問題は「越えてはならない一線だ」と主張した。

 トランプ氏は中国との通商交渉を重視しており、台湾への言及や中国への批判は控えている。また、米中を「G2(グループ・オブ・ツー)」と表現し、米中の2極体制で世界を主導する狙いを警戒する声もある。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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