米圧力でも強気のインド プーチン氏迎え入れ「戦略的自律」アピール
ロシアのプーチン大統領がインドを訪れ、モディ首相との首脳会談に臨んだ。露産原油の購入を巡り米トランプ政権がインドへの圧力を強める中、インドはあえてプーチン氏を迎え入れ、国益に応じて連携相手を選ぶ「戦略的自律」を改めて印象づけた。
インドは、国際環境が揺れるなかでもロシアとの友好関係を維持している。旧ソ連時代からの関係はウクライナ侵攻後も途切れず、米欧の経済制裁に加わることなく、割安となったロシア産原油を大量に購入。経済面ではむしろ結びつきを深めてきた。
2国間の貿易額は急増しており、インドメディアによると、2021年の約130億ドル(約2兆円)から24〜25年には約680億ドルと5倍超に膨らんだ。ただ、インド側の貿易赤字は大きく、医薬品や農産物など自国製品の輸出拡大が課題だ。今回の会談でも経済分野での連携強化が主要議題とされた。
軍事面でも、インドは長くロシア製武器に依存してきたが、近年は欧米やイスラエルからの調達も増やし、過度に「ロシア寄り」と見られないようバランスに気を配ってきた。
そうした中で厄介なのが、米政権との関係だ。トランプ大統領は、ロシア産原油の大口輸入国であるインドに購入停止を繰り返し要求したが、インドは応じなかった。米国は8月、インドからの輸入品に対する関税を50%に引き上げ、圧力を強めている。
モディ氏は、米国の関税政策を念頭に「どれだけの圧力がかかっても、我々はそれに耐える力を強化し続ける」と反発。国境問題を抱える中国との関係改善を模索するなど、米国に対するけん制とも受け取れる動きを見せている。
ロシアとの首脳会談について、インドのシンクタンク「オブザーバー・リサーチ財団」のハーシュ・パント副代表は「米国との摩擦を抱える時期にプーチン氏を招くこと自体、インドの戦略的自律性を示している」と指摘した。
そのうえで、今回の会談が米印関係を直ちに揺るがすわけではないとしつつ、ウクライナ和平を巡る米露協議が停滞すれば「トランプ氏が『インドはロシアを支援している』との主張を再び強める可能性はある」とも述べた。【ニューデリー松本紫帆】
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