「台湾の紛争抑止」を優先事項に トランプ政権の国家安全保障政策

2025/12/05 20:38 

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 米ホワイトハウスは5日までに、トランプ政権の外交・安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略(NSS)」を公表した。

 台湾の地政学的な重要性に言及した上で、中国を念頭に「台湾を巡る紛争の抑止」を優先事項として強調。そのため、日本や韓国に防衛負担を求めると明記した。

 NSSは、時の政権が外交、経済、軍事などさまざまな分野にまたがる安全保障上の優先事項を包括的に明示するもので、第2次トランプ政権では初めて。

 政権は今回「米国が人類史上、最も偉大で成功した国家であり続けるためのロードマップ」と位置付けた。

 インド太平洋地域については、米国の繁栄を維持する上で「主要な経済的・地政学的な戦場」と指摘。10月のアジア歴訪で、トランプ大統領は同盟の構築や各国との連携強化に努めており、「自由で開かれたインド太平洋」への関与を継続するとした。

 また、日本列島から台湾、フィリピンに至る「第1列島線」の防衛強化を図るため、日本や韓国などの同盟国に防衛費負担増を求めると明記。台湾海峡の一方的な現状変更に反対する姿勢を示した。

 中国との関係については、30年以上に及ぶ歴代米政権が「ルールに基づく国際秩序」に中国の参画を促すという「誤った想定に基づいていた」と批判。トランプ氏が従来の政策を転換したと主張した。

 また、日米豪印の協力枠組み「クアッド」を含め、インドとの安全保障や経済面での連携強化に期待を示した。

 ロシアとウクライナの停戦は、欧州の経済的安定やロシアとの戦略的安定を確保する上で「米国の核心的な利益」と主張。米国にとって欧州は文化的・戦略的に「不可欠」だとして「欧州を見捨てる」ことは自滅的だとしたが、移民政策などが経済などの衰退を招いていると批判した。

 中東については、米国のエネルギー依存が低下し、紛争も抑制されつつあると指摘。また、西半球で米国の優位性を確立することで、自国の領土防衛を確実にする方針も明確化した。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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