台湾の2野党が頼総統の弾劾手続きへ 成立は困難でも深まる対立

2025/12/19 21:28 

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 台湾野党2党は19日、頼清徳総統に対する弾劾手続きを始めると発表した。過半数の議席を握る野党側は頼政権と対立し、「独裁的で違憲だ」と批判している。弾劾が成立する可能性は非常に低いものの、与野党の溝がさらに深まるのは確実だ。

 最大野党・国民党と第2野党・台湾民衆党の立法委員(国会議員に相当)団は19日、立法院(国会に相当)で記者会見し、「頼政権は議会を通過した法案の公布を拒否し、民主主義を踏みにじった」と訴えた。両党によると、総統に対する弾劾手続きは史上初という。

 立法院では11月、中央政府と地方政府の財政収支配分を定める法律の改正案が、野党の賛成多数で可決された。だが卓栄泰行政院長(首相に相当)は、改正案が地方向け補助金に影響を及ぼし、行政権が侵害されるとして、公布に必要な署名を拒否。頼氏も卓氏の方針を支持している。

 2024年5月に発足した頼政権は少数与党で、これまでも法案や予算案の審議が難航していた。

 立法院(定数113)では、野党議員は無所属を含めて計62人。憲法の規定で、弾劾案提出に必要な全体の2分の1以上の条件は満たすが、可決に必要な全体の3分の2以上には届かない。さらに、成立には憲法法廷で一定以上の裁判官の同意も必要となる。

 野党側は今後の弾劾案の審議で、頼氏が立法院で説明するよう要求する。これに対し、与党・民進党は「議会多数派の暴力が民主主義を破壊している」と反発している。【台北・林哲平】

毎日新聞

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