「和解の拠点を日本に」 英退役軍人と対話重ねた女性、外相表彰

2025/12/20 09:38 

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 第二次大戦で銃火を交えた日本と英国の戦後和解に取り組む「ビルマ作戦協会(BCS)」のマクドナルド昭子会長(74)に19日、日本の外務大臣表彰が授与された。英国で元兵士らと親交を深め、日英友好に寄与してきた功績がたたえられた。昭子さんは「世界の戦後和解の拠点施設を日本につくりたい」と目標を語った。

 1940年代、日英両軍はミャンマー(ビルマ)などで交戦。英軍捕虜が強制労働をさせられたことから、英国では戦後も反日感情が残った。BCSは、ビルマで従軍し、後に英国に住んだ故・平久保正男さんが元英兵らに参加を呼びかけ、83年に発足。日英各地で慰霊祭や交流会などを開催した。

 英国人と結婚して渡英した昭子さんは、父親が平久保さんと同じ師団でビルマ戦線を戦った。2008年に平久保さんが亡くなり、会長職を引き継いだ。退役軍人らとの討論会などを続け、敵意や憎悪をぶつけられながらも、粘り強く対話を重ねてきた。「日英の溝を埋めるための活動に今も熱中している」と語る。

 この日、ロンドンの日本大使館で鈴木浩大使から表彰状を贈られた昭子さん。「負の遺産が引き継がれないよう、両国の歴史や考え方の違いをオープンにして分かち合うことが必要だ」。戦争体験者が亡くなる中、使命感は強まっている。

 融和を目指す対象は日英にとどまらない。「戦争をした各国が自国の言い分を説明して議論し、和解につなげる場」となる施設を日本に設立する構想も進める。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

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