ガザの「飢饉」解消、食料不足はなお「危機的」 国連機関など分析

2025/12/20 06:15 

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 国連機関や人道支援団体などでつくる連合体「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の飢饉(ききん)検討委員会は19日、パレスチナ自治区ガザ地区の食料事情が改善し、「飢饉」が解消されたとの分析を明らかにした。ただ、食料不足は依然として続いており、「状況はなお危機的だ」としている。

 ガザでは3~5月、イスラエル軍によって支援物資の搬入が禁じられたため、食料不足が急速に深刻化した。餓死者も相次ぐようになり、8月にはIPCが飢饉の発生を宣言した。その後、10月10日に停戦が発効して以降、支援物資の搬入は徐々に加速している。

 IPCの分析によると、10月16日~11月30日、人口約210万人のうち10万人が5段階中最悪の「壊滅的飢餓」を経験し、約50万人がこれに次ぐ「人道的危機」の状態にあった。3番目の「急性食料不安」は約100万人に達した。

 来年4月までの予測では、「壊滅的飢餓」に直面する人口は約2000人まで減少するが、「人道的危機」または「急性食料不安」にある人は計約160万人に上り、全体的な食料不足は続くとみられている。

 IPCの基準では、飢饉は▽人口1万人当たり2人以上(または子供1万人当たり4人以上)が毎日、栄養失調などで死亡▽20%以上の世帯が食料不足に直面▽子供の30%以上が急性栄養失調――の3条件を満たす場合に認定される。

 中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、ガザではこれまでに460人以上が餓死しており、このうち157人が子供だった。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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