「敵国」イスラエルのイラン系住民 デモ隊へ「ともに声を上げる」

2026/01/16 18:09 

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 昨年12月末からイランで続く反政府デモでは数千人が死亡したとされる。イランと敵対するイスラエルでは、イランにルーツを持つユダヤ人らが住民に「連帯」を示している。

 「自由のための最後の闘いだ」――。イスラエル中部ホロンで14日、イラン系ユダヤ人ら約200人が集まり、声を張り上げた。会場には1979年のイラン革命で追放された元皇太子、レザ・パーレビ氏の写真などを掲げる人の姿もあった。

 イスラエルには革命後、イスラム教シーア派国家となったイラン指導部の迫害を恐れ、移住したユダヤ人とその子孫約25万人が暮らしている。

 イランに親戚が残っている人も多い。パウロ・スミスさん(41)の母親は、イラン北部ラシュトで暮らしているという。英BBCは12日、ラシュトでデモ参加者の遺体約70人が病院に運ばれたと報じた。

 インターネットが遮断され、状況はなかなか把握できなかった。13日にイランとの国際電話が一部再開されると、すぐに母親から連絡があり、1分だけ会話ができたという。

 「路上では遺体の上に遺体が積み重なり、治安部隊は狭い路地までデモ参加者を追いかけ、射殺している。動画を撮らせたくないのか、窓から外をのぞくだけで殺される」。母親は緊迫した様子で語った。

 犠牲者が増える中、米国は軍事介入も示唆している。「約9000万人のイラン国民は、独裁体制に人質に取られているようなものだ。彼らは助けを求めている。米国や西側諸国は行動をする時だ」。スミスさんは言葉を詰まらせながら語った。

 昨年6月に起きたイスラエルとイランの「12日間戦争」では、イスラエルでも連日、イランからのミサイルが着弾し、29人が死亡するなど大きな被害が出た。

 イラン生まれの父を持つエリヤ・アバラリアンさん(20)は、米国やイスラエルが軍事攻撃した場合の報復について、「もちろん、恐怖はある」とこぼした。一方で「今のイランの状況を見た時、人間として何もしないわけにはいかない。(被害を防ぐための)シェルターでしばらく過ごす覚悟はできている」と語った。

 イランの首都テヘラン出身のシャーリー・シャムシアンさん(51)は、幼少期にイラン革命が起きたと教えてくれた。

 イスラム教に基づく統治が始まると、ユダヤ教徒であることを隠さなくてはならなくなった。隣国イラクとの戦争勃発もあり、88年にイスラエルに移住した。

 シャムシアンさんは「今、イランで起きていることはジェノサイド(大虐殺)だ。イランは、(パレスチナ自治区ガザ地区の)イスラム組織ハマスを支援し、ガザ戦闘の責任もある。私たちはイランの人々とともに声を上げる」と力を込めた。【ホロンで松岡大地】

毎日新聞

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