生物多様性へ「悪影響」投資7.3兆ドル 「好影響」を大幅に上回る

2026/02/10 18:17 

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 世界中の科学者が参加する「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」は9日、ビジネスと生物多様性に関する報告書を公表した。多様性の保全や生物資源の持続可能な利用に悪影響を与える投資は2023年、世界で官民合わせて7兆3000億ドルに達したのに対し、好影響を与える投資は2200億ドルと大幅に下回ったと明らかにした。

 食料供給などさまざまな恩恵をもたらす生物多様性は経済活動を支えている。世界経済フォーラムが20年に出した報告書は「世界の国内総生産(GDP)の半分以上(約44兆ドル)の経済価値は自然に依存している」と指摘した。だが、生物多様性は急速に失われており、悪影響を与えるビジネス投資がその一因となっている。

 報告書は、好影響を与える投資が広がらない背景について、生物多様性がもたらすサービスの価値が十分に数値化できておらず、企業が多様性保全に取り組む動機を低下させていることを挙げた。また、企業から多様性保全に関する情報開示が少ないために、金融機関が好影響を与える事業に投資したくても判断が難しいことも挙げた。

 IPBES議長のデビッド・オブラ氏は「生物多様性が企業の繁栄を多様な形で支えている。私たちは自然システムに依存しており、規模や国の違いにかかわらず、全ての企業が共に前進できるよう支援することが必要だ」と述べた。

 報告書は35カ国・地域の専門家が作成し、日本を含む150以上の政府が承認した。22年に採択された生物多様性に関する国際目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」は、30年までに多様性の損失を止め、回復させることを掲げ、企業に情報開示を求めている。【高橋由衣】

毎日新聞

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