英仏の「核の傘」欧州全体に拡大構想 独首相が言及 ミュンヘン会議
世界の首脳や閣僚らが外交・安全保障について話し合う「ミュンヘン安全保障会議」では13日、独仏の首脳が相次いで欧州の防衛強化を訴えた。ドイツのメルツ首相は、英仏が保有する核兵器の抑止力を欧州全体に広げる構想に言及。これについてマクロン仏大統領と「最初の協議を始めた」と明かした。
13日に開幕した会議では、トランプ米政権がデンマーク自治領グリーンランドの領有を求めたことで冷え込んだ欧米関係についての議論が焦点となっている。
◇「欧米の間には深い溝」
メルツ氏は演説で「欧米の間には深い溝ができた」との認識を率直に語り、「我々は欧州を強化する。独立した欧州が、新しい時代に対する我々の最善の答えだ」と、防衛面での脱米国依存を訴えた。
英仏の「核の傘」を巡っては、英仏が昨年7月、核兵器の運用で連携することで初めて合意し、欧州全体に核抑止力を提供する意思を示していた。現在、ドイツなどの米軍基地には米国の核兵器が配備され、米国が北大西洋条約機構(NATO)を通じて核抑止力を提供している。英仏の動きはトランプ政権のNATOへの関与低下を念頭に置いたものだった。
マクロン氏は演説後の質疑応答で、司会役のイッシンガー・ミュンヘン安保会議議長に対し、核保有国であるロシアの脅威を理由として挙げ「ロシアと確実に対話するために必要な能力だ」と述べた。「ドイツの歴史の中では初めてのことだ」と意義を語った。
欧米関係を巡っては、メルツ氏が演説で、米国に対し「信頼を取り戻そう」と呼びかけるなど、緊張緩和を訴える場面もあった。1月にあった世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では「強者が押しつける論理を受け入れるわけにはいかない」と厳しく批判したマクロン氏もこの日は直接的な米国批判を避けた。
だが英紙フィナンシャル・タイムズによると、会議に参加するため現地入りしたルビオ米国務長官は、ドイツやポーランドなど欧州の首脳らと13日に予定されていた会談を、スケジュールを理由に直前でキャンセルしたという。
一方、ルビオ氏は同日、デンマークのフレデリクセン首相とグリーンランドのニールセン自治政府首相と会談した。米国による領有について議論し、デンマークとグリーンランドは拒否する姿勢を改めて示したとみられる。
フレデリクセン氏は会談後、X(ツイッター)で「建設的な会談だった」と述べ、米国との協議を継続する方針を示した。ロイター通信によると、トランプ米大統領は米ホワイトハウスで記者団に対し「グリーンランドは我々を選ぶだろう」との見方を示し、「我々は欧州ととてもいい関係にある。どうなるか見てみよう」と話した。【ミュンヘン五十嵐朋子】
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