米イランの核協議開始 合意案にトランプ氏の判断は 決裂なら攻撃か

2026/02/26 19:38 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 イランの核開発を巡り、米国とイランは26日、スイス・ジュネーブで今年3回目の交渉を開いた。イランが核開発の制限などを盛り込んだ合意案を提示したとみられ、米国が受け入れるかが焦点だ。合意が成立しなければ、米国はイラン攻撃に踏み切る可能性が高く、イラン情勢は重大な岐路を迎えている。

 ◇イラン「取引成立させる決意」

 米国のウィットコフ中東担当特使とトランプ米大統領の娘婿クシュナー氏、イランのアラグチ外相らが参加した。仲介したオマーンのバドル外相は26日、X(ツイッター)で「創造的で前向きなアイデアを交換した。さらなる進展を期待している」と投稿した。協議はいったん中断したが、現地時間の26日夕にも再開される。

 欧米メディアによると、イランは制裁解除の引き換えとして、保有している高濃縮ウランの国外搬送や希釈を検討。ウラン濃縮活動は他国と共同事業体を設置して行う意向とみられる。また、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、イランに対して医療目的に限定し、微量のウラン濃縮のみ容認する案を提示したという。アラグチ氏は24日、Xで「できる限り早く公正公平な取引を成立させる決意がある」と述べていた。

 ◇トランプ氏の判断は

 ただ、米国がこれらの譲歩で納得するかは見通せない。トランプ氏は24日の一般教書演説で、イランを「世界最大のテロ支援国家」と表現。「間もなく米国に到達するミサイルを作ろうとしている」とも語り、核問題だけでなく、ミサイル開発も脅威だと改めて強調した。ロイター通信によると、バンス副大統領も25日、「イランは核兵器を持つことはできない」とけん制した。

 また、米財務省は25日、イランの原油輸出に関わる船舶や防衛産業関連の個人や企業に新たに制裁を科し、圧力を強めた。米ニュースサイト「アクシオス」によると、トランプ政権は仮に核問題で合意が成立した場合でも、ミサイル開発などを巡り協議を続けたい意向だという。

 米軍はすでに二つの空母打撃群をイラン周辺に展開しているほか、多くの戦闘機や空中給油機なども中東に派遣している。交渉が決裂すれば、限定的な攻撃を加えてさらなる譲歩を迫り、イラン側が応じなければ体制転換を視野に入れた大規模な攻撃に踏み切る可能性も報じられている。

 ◇米イランの核協議、昨年は頓挫

 米イランの核協議は昨年4~5月にも5度開かれたが、6月に敵対するイスラエルがイランの核施設などを先制攻撃し、米軍も空爆に加わったため、交渉が頓挫した。

 米国が軍事圧力を強める中、協議は今月6日に再開。17日に開かれた2回目の協議では、イランが合意案の草案を提示することが決まっていた。

 イランの核開発は2002年、秘密裏に核施設を建設していたことが反体制派に暴露されて発覚。15年には米英仏独露中の6カ国との間で、核開発の制限と引き換えに経済制裁を解除する「核合意」を締結したが、第1次トランプ政権が18年に一方的に離脱。イランは翌19年、対抗措置としてウランの濃縮レベルを上げた。

 IAEAの推計では、イランは昨年6月時点で濃縮度60%の高濃縮ウランを400キロ以上保有していたとされる。90%以上に濃縮すれば核兵器約10発分に相当する量で、米欧やイスラエルなどが懸念を強めている。【カイロ金子淳】

毎日新聞

国際

国際一覧>

写真ニュース