トランプ米大統領に妥協迫る原油高 対イラン攻撃巡り発言は二転三転
トランプ米大統領が対イラン攻撃の早期終了をにじませた背景には、記録的な原油価格の高騰がある。ガソリンなどの物価上昇(インフレ)の再燃と米景気の低迷を招きかねず、11月の中間選挙に悪影響を及ぼす事態を憂慮する声が政権内にある。イランへの強硬姿勢を示すトランプ氏に、原油高が妥協を迫っている。
「結果として米国の家庭向けガソリン価格が下がる」。トランプ氏は9日の記者会見で、政権が講じる原油価格の引き下げ策が米社会に恩恵をもたらすと強調した。
原油先物価格が8日(日本時間9日)、1バレル=100ドルの大台に乗せたことで、米国ではガソリン価格の急騰が避けられないとの見方が強まっていた。ガソリン価格は消費者心理の指標と位置付けられており、トランプ氏は国民の不安払拭(ふっしょく)を図った格好だ。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、トランプ氏は満足のいく勝利にこだわり軍事作戦を続ける考えだったが、トランプ氏の顧問らは戦闘の長期化懸念で急騰が続く原油価格の動向を注視。米景気が打撃を受けるリスクを警戒し、対イラン攻撃を早期に終了するようトランプ氏に働きかけた。攻撃に国民の支持が広がっていないとする世論調査の結果も報告。中間選挙での苦戦は自身の政権基盤を揺るがすだけに、トランプ氏も戦闘の早期終結に傾いた。
ただ、トランプ氏はこれまで対イランの軍事作戦を巡り発言が二転三転している。イラン側の出方などによっては、戦闘が長引く恐れもある。トランプ氏は会見後、自身のソーシャルメディアで、イラン側がホルムズ海峡での船舶通過を妨害した場合は「これまでの20倍の力で報復する。国家としての再建を事実上不可能にする」などと脅した。
主要7カ国(G7)は石油備蓄放出を含めて協調する方針だが、戦闘が泥沼化すれば、対イラン軍事作戦が「間もなく終了する」とした今回のトランプ氏の発言は口先介入に過ぎないと市場が見透かし、原油価格が再び高騰する展開も予想される。【ワシントン浅川大樹】
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