洪水のバンコク、道路が水上マーケットに たらいで買い出しも

2026/09/30 10:08 

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 茶色く濁った水に覆われた道路を、野菜を積んだ小舟が進んでいた。路線バスは水の中に取り残され、その脇では商人が肉や魚、野菜を並べ、客を待っていた。

 週末の豪雨で各地が冠水したタイの首都バンコクでは、多くの地域で水が引いた。だが東部バンカピでは、冠水4日目となった29日も膝の辺りまで水が残っていた。

 「昨日はここまであったよ」。野菜売りのトンクーンさん(42)は、腰の辺りに手を当てた。冠水が始まった26日以降、傷んだ野菜計約200キロを捨てた。それでも店は開けていた。「閉めたら収入はゼロ。少しでも売れればその方がいいよ」

 ショウガは通常1キロ40バーツ(約190円)だが、この日は35バーツに値下げした。「早く売り切りたいし、少しでもみんなの助けになれば」。仕入れのトラックが冠水で入ってこられるかも分からない。「今夜来なければ、明日は休むしかないね」

 近くのスーパーの階段に果物や野菜を並べて商売を続ける人もいた。ギムさん(40)は出遅れて場所がなく、ソーセージや肉団子を載せた台を水に浮かべて売り歩いた。「店を構えなくていいから、意外と楽ですよ」。夕方までに商品の半分以上が売れたという。

 客も工夫する。妻を大きなたらいに乗せ、夫がひもを引く夫婦も。買った食材を発泡スチロール箱に載せ、浮かべて運ぶ人もいた。

 近くに住むテーンクワーさん(30)が外出したのは、冠水後初めてだった。インスタント麺や魚の缶詰、飲料水を買い込んでいたが、「さすがに同じものばかりだと飽きてきました」。干しエビとパパイアを手に、「今日はソムタムを作ります」と笑った。

 この地域に住んで10年以上。大雨で冠水することは珍しくないが、普段はふくらはぎ程度という。「ここまでひどいのは初めて」

 タイ各地で続く洪水では、全国で少なくとも23人が死亡。経済活動の停滞による損失は約123億バーツ(約580億円)と試算されている。【バンコク小泉大士】

毎日新聞

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