石破首相、野党に「熟議」呼びかけ 就任後初の施政方針演説

2025/01/24 14:45 

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 第217通常国会が24日召集され、石破茂首相は衆参両院本会議で就任後初めての施政方針演説を実施した。

 野党の賛成がなければ2025年度予算案を成立させられない少数与党のため、首相は「責任ある立場での熟議」を野党に呼びかけ、合意形成への決意を示した。「世界一の防災大国」を目指すとして、26年度以降の「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化」の新計画を今年6月をめどに策定し、現行の15兆円(5年間)を上回る事業規模を目指す方針を表明。災害対策基本法を改正し、被災地の福祉支援を強化する考えを示した。

 経済運営を巡っては、「物価上昇に負けない賃上げ」を最重視するとして、中小企業が適切に価格転嫁できるよう下請け法の改正や各業種の省力化投資を促進する考えを示し、企業の成長投資を推進する会社法改正の議論を開始すると表明した。

 また、「大災害や有事に備えた財政余力を確保する」との視点を明示し、財政健全化の方針を維持。今夏の骨太の方針で「今後の財政健全化に向けた取り組み」を示すと言明した。

 6日の年頭記者会見に続き、選挙制度にも言及した。導入から約30年が経過した小選挙区比例代表並立制を検証し「あるべき選挙制度を議論したい」との意欲を示したほか、企業・団体献金や、選挙におけるSNS(ネット交流サービス)のあり方について与野党を超えた議論を呼びかけた。

 外交・安全保障では、力の空白が地域の不安定化につながらないよう「(米国と)責任を共有し、応分の役割を果たさなければならない」と強調。中国とは「戦略的互恵関係」と「建設的かつ安定的な関係」の構築を推進し、意思疎通を図っていく考えを示した。サイバー攻撃排除を可能にする「能動的サイバー防御」の関連法案を提出する方針も示した。

 首相はまた、人を財産として尊重する「人財尊重社会」と、多様な個人が自己実現を図る「楽しい日本」の実現を目指すべき社会像に位置づけた。「令和の日本列島改造」の具体案には、若者・女性にも選ばれる地方▽産官学の地方移転と創生――などを掲げ、新設する防災庁などの政府機関の地方移転を推進すると言及した。【村尾哲】

毎日新聞

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