今はインフレ?デフレ? 政府と日銀の認識違い浮き彫りに 予算委

2025/02/04 18:49 

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 日銀の植田和男総裁は4日、衆院予算委員会に出席し、国内の物価情勢について「現在はインフレの状態」との認識を示した。一方、石破茂首相は「デフレではない。しかし、今はインフレだと決めつけることはしない」と述べた。政府と日銀の認識で違いが浮き彫りになった。

 いずれも立憲民主党の米山隆一氏への答弁。米山氏は昨年12月の全国消費者物価指数が前年同月比で3・6%上昇し、中でも生鮮食品が17・3%も伸びていると指摘。「今はインフレか、デフレか」と問うと、植田氏は「昨年(2月)も答えたが、現在はデフレではなく、インフレの状態にあるという認識に変わりはない」と答えた。

 同様の質問を向けた赤沢亮正経済再生担当相は、「どの程度の物価上昇率を『インフレ』と呼ぶかさまざまな見解があり、デフレでない現状を直ちに『インフレ』と申し上げることは難しい」と政府の見解を説明した。

 また、政府は賃上げの定着具合などを見ながら「デフレ脱却」を宣言しようと模索している。宣言に至らない理由について、石破首相は「デフレは脱却できていない。なぜなら再びデフレに戻らないとハッキリしないからだ」と述べた。

 政府と日銀は、安倍晋三政権が発足した直後の2013年1月、長引くデフレからの脱却と経済成長の実現に向けた共同声明を発表した。物価が持続的に前年比2%上昇する「物価安定の目標」を盛り込み、「政府と日銀の政策連携を強化し、一体となって取り組む」と明記した。

 物価の現状認識の隔たりは、政府・日銀の足並みの乱れにもつながりかねない。【浅川大樹】

毎日新聞

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