立花氏への情報提供に関与 兵庫の維新県議2人、釈明に追われる

2025/02/19 21:04 

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 2024年11月の兵庫県知事選を巡り、誹謗(ひぼう)中傷の一因となった情報に日本維新の会所属の県議2人が関与していたことが明らかになった。「軽率だった」「私が書いていない」。19日、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首に文書の提供を認めた県議は釈明に追われた。

 「その場に同席していたことからすると、私から渡したといわれても抗弁のしようもない。大変、軽率で申し訳なく思っている」

 維新の岸口実県議(60)は19日、県庁で報道陣の取材に応じ、立花氏に文書を手渡した場に立ち会ったことを認めた。

 斎藤元彦知事の失職に伴う知事選告示翌日の24年11月1日、立花氏は街頭演説で、県議会の調査特別委員会(百条委)で真相究明に当たった竹内英明元県議(1月に死亡)を名指しし、「ありもしないうそ、うわさ話をつくった人ですよ」と批判した。その後、竹内氏がインターネットでの誹謗中傷に苦しむきっかけの一つになった。

 発言の根拠として、立花氏は「秘密の文書」を挙げた。斎藤氏にとって不利な情報を一部の県議がマスコミにリークしているとの記述があり、「黒幕(主犯格)は竹内(県民連合)。知事失職が最終的な狙い」と批判する内容で、作成者は不明だった。

 立花氏は動画サイトで、この文書を神戸市のホテルで「片山安孝元副知事の仲介人から手渡された」と説明し、竹内氏が亡くなった後、その人物が岸口氏だったと明らかにした。

 岸口氏や維新によると、24年11月1日に民間の知人に誘われ、立花氏と面会したという。「何か目的をもって会ったわけではなかった。当時はこのような選挙結果になるとは想像もしていなかった」と説明した。

 岸口氏は立花氏に提供した文書の内容について「私が書いたものではない。その場で読んだ」とした上で、「当時は書いている内容が事実かどうか判断がつかなかった」と釈明した。

 提供した文書が誹謗中傷の一因となった可能性について、「結果として、私自身受けとめなければいけないところはある」と述べた。

 調査を進める維新は近く、報告書をまとめ、県組織・兵庫維新の会が岸口氏の処分を検討する。維新の岩谷良平幹事長は「除名に当たるような大きな違法行為ではないと認識しているが、政治倫理上、問題のある軽率な行為だったと思う」との見解を示した。

 片山氏は代理人弁護士を通じて「立花氏と面談したこと、話したことは一切ない」とする書面を公表している。斎藤氏は19日の記者会見で「どういった文書を渡されたのか知らないので、コメントのしようがない」と話した。

 一方、知事選への影響を避けるため、24年10月に非公開で行われた百条委(秘密会)の録音データを立花氏に提供したことを認めた維新の増山誠県議(46)。19日夜に出演したインターネット番組で「録音してデータを渡したのは私だ。(知事選後の)公開前に提供したのはルール違反なので反省して謝罪したい」と話した。

 録音データは、10月25日に知事の最側近だった片山氏を証人尋問した際のやり取りが記録されているとみられる。

 増山氏によると、片山氏はこの尋問で、斎藤氏らの疑惑を文書で告発した元県西播磨県民局長の男性(24年7月に死亡)について「(知事への)クーデターが背景にある」と発言し、その内容を説明したという。

 増山氏は「文書が作成された背景を県民が知らされないまま知事選が行われるのが正しいのかという強い思いがあった」とし、「葛藤もあったが、県民に広く伝えることが大事だと思った」と釈明した。

 増山氏の発言について、百条委の奥谷謙一委員長は「事実関係を確認した上で、対応を検討したい」とのコメントを出した。【栗田亨、大野航太郎、山本康介】

毎日新聞

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