FBI長官にトランプ氏の「政敵リスト」作成者 政治的報復の懸念も

2025/02/21 07:32 

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 米連邦議会上院は20日、トランプ大統領が連邦捜査局(FBI)長官に指名したカシュ・パテル氏の人事を承認した。2023年に著書で民主党関係者や共和党内の反トランプ派ら60人の「政敵リスト」を公開しており、捜査権を利用して政治的な報復に乗り出すとの懸念があった。

 ヘグセス国防長官、ケネディ厚生長官、ギャバード国家情報長官ら資質が疑問視されていた他の高官人事も軒並み承認されており、トランプ氏の影響力が上院でも強まっていることが浮き彫りになった。

 パテル氏の人事は、賛成51票、反対49票で承認された。共和党から中道派の2人が反対に回り、民主党は全員が反対した。

 パテル氏は第1次トランプ政権(17~21年)で、国家安全保障会議(NSC)の対テロ上級部長や、国防長官代行の首席補佐官を務めた。23年に出版した著書では「ディープステート(影の国家)」のメンバーとして、当時のバイデン大統領やハリス副大統領、レイFBI長官らを列挙。FBIの解体を主張したこともある。

 上院での人事承認を巡る公聴会では民主党議員らの追及を受けたが、「FBIを政治化するつもりはない」などと釈明していた。

 トランプ政権の高官人事では、司法長官候補だったゲーツ元連邦下院議員に未成年者の買春疑惑が浮上し、ゲーツ氏は指名を辞退。ヘグセス氏の交代を模索しているとの報道もあったが、トランプ氏は他の高官人事は撤回せず、上院に承認を求めた。当初慎重だった議員らも、次の選挙の党予備選でトランプ派の「刺客」を立てられるリスクがあり、最終的に大半が承認に回った。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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