「年収の壁」公明新案 納税者の8割強4600万人が減税対象

2025/02/21 20:49 

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 公明党は21日、所得税がかかり始める「年収103万円の壁」の引き上げについて、年収850万円を上限に、4段階で控除額を上乗せする新たな案を自民党、国民民主党に提案した。自民は党内協議を経て賛同する見通し。国民民主は持ち帰って検討するとした。3党は週明けにも再度協議する。

 同日開いた3党の税制調査会(税調)の幹部会談で提案した公明案は、控除額の上乗せの対象を年収500万円以下とした自民案を年収850万円以下に拡大したもの。

 年収200万円以下の場合は自民案を踏襲し、最低限の生活費に課税しない基礎控除(58万円)を37万円上乗せする特例措置を講じる。会社員の経費を差し引く給与所得控除(65万円)と合わせると、所得税がかかり始める水準は、従来の政府案の123万円から160万円になる。

 このほかに、年収200万~475万円以下は30万円▽年収475万~665万円以下は10万円▽665万~850万円以下は5万円を、それぞれ基礎控除に上乗せする。

 公明によると、年収850万円への引き上げにより、所得税の納税者の8割強の約4600万人が減税対象になる。減税額は年収にかかわらず2万円前後になるという。公明の赤羽一嘉税調会長は3党会談後、記者団に対し「物価上昇局面において、より幅広い収入階層の世帯で家計負担が増加しているという現状をしっかりと受け止めた」と年収制限を緩和した背景を説明した。

 年収200万円以下は恒久措置とするが、200万円超は2025、26年の2年間の時限措置。減収は約6200億円になる見込みだが、追加の国債を発行する必要はないという。自民の宮沢洋一税調会長は「基本的には賛成できる」とした。

 ただ、国民民主は年収制限の撤廃を主張する。会談終了後、古川元久税調会長は「税は公平、中立、簡素が基本原則。年収制限は公平ではないし、中立でもない。区分を細かく分けたことでより複雑になった。(議論は)平行線だ」とした。

 一方、24年末に3党幹事長で合意していたガソリン税に上乗せされている暫定税率の「廃止」については協議せず、週明けに結論が持ち越された。【野間口陽、杉山雄飛、小田中大、遠藤修平】

毎日新聞

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