「能動的サイバー防御」関連法案が審議入り 衆院本会議
サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の関連法案が18日、衆院本会議で審議入りした。石破茂首相は「国家を背景とした高度なサイバー攻撃への懸念の拡大や、社会全体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展を踏まえると、サイバー対処能力の向上はまさに喫緊の課題だ」と指摘。法整備によって「サイバー攻撃に関連する情報収集分析能力や、重大なサイバー攻撃への対処能力の大幅な強化が可能となる」と強調した。
法案は、平時から通信情報を監視し、重要インフラへの攻撃などの兆候があれば攻撃元のサーバーを無害化する権限を警察と自衛隊に付与することなどが柱。新設の「サイバー通信情報監理委員会」が運用を監督し、憲法が定める「通信の秘密」に配慮して国会への報告規定も盛り込んでいる。
立憲民主党の山岸一生衆院議員らが、取得する通信情報に関してただしたのに対し、首相は分析の対象について「IPアドレスやコンピュータへの指令情報など、コミュニケーションの本質的な内容に当たらない情報」などと答弁。「国民の行動を一般的に把握するような目的で利用されることはない」などと理解を求めた。
海外にあるサーバーなどの無害化措置を巡っては、国際法上も許容されているとの認識を示した上で「措置の実施主体が、警察庁長官、または防衛相を通じてあらかじめ外相との協議を行うことにより、国際法上許容される範囲で措置を行うことを確保する」と述べた。
サイバー安全保障を担当する平将明デジタル相は「通常兵器による有形力の行使と同様の深刻な被害を伴うことは想定されず、国連憲章第2条の4が禁ずる武力の行使に当たることはない」と指摘。「その意味で先制攻撃になることはない」とも語った。
首相はまた、政府の体制について「2025年度予算を認めていただいたあかつきには、サイバー安全保障分野について191億円の予算が措置され、内閣官房に計235人の体制を構築するなど、必要な予算、体制が確保されることになる」と述べた。【樋口淳也】
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