学術会議の法人化法案、衆院内閣委で可決 立憲は修正法案提出を検討

2025/05/09 20:34 

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 衆院内閣委員会は9日、現在は国の特別機関である日本学術会議を特殊法人化する法案を、賛成多数で可決した。学術会議は「政府からの独立性の確保に懸念される点がある」として法案の修正を求めていたが、政府・与党は応じなかった。

 採決では与党と日本維新の会が賛成し、立憲民主、国民民主、れいわ新選組、共産の各党などが反対した。近く衆院本会議を通過する見通しで、立憲は参院への修正法案の提出を検討している。

 学術会議はこれまで会員が次期会員候補を選び、首相が任命してきた。法人化されると首相は任命しなくなるが、法案では次期会員を選ぶ際に外部有識者から成る「選定助言委員会」の意見を聞くことを新たに規定。首相が任命する委員や監事が活動を評価したり監査したりする仕組みも設けており、学術会議側から懸念の声が出ていた。

 また政府は2026年10月に新組織を発足させる方針で、その際は首相が指定した有識者2人と現会長が協議して選んだ「候補者選定委員」10~20人が会員候補者を選考する。間接的に会員選考に首相の意向が働く可能性もあるが、坂井学・内閣府特命担当相は「それによって政府の意向を反映しようという考えは全くない」と述べた。

 一方、参考人として出席した学術会議の光石衛会長は「学術会議の人的継続性が失われることを念頭に規定されているのではないか。疑念が残る」と指摘した。

 これまでの委員会の審議では、前会長の梶田隆章・東京大卓越教授も「(学術会議の)同意を得ないまま、懸念がある法案を通すこと自体がナショナルアカデミー(国を代表する学術団体)としての独立性・自律性を脅かす」と法案に反対する姿勢を示している。【信田真由美】

毎日新聞

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