自民、消費減税は「見送り」で調整 与党内の協議は難航も

2025/05/09 20:31 

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 自民党は、物価高やトランプ米政権の関税措置を受けた経済対策として浮上していた消費税減税を見送る調整に入った。複数の党幹部が9日明らかにした。ただ、公明党の斉藤鉄夫代表は9日の記者会見で、経済対策の骨格は減税になるとの考えを示しており、与党内の調整は難航する可能性がある。

 林芳正官房長官は9日の会見で「社会保障費が大きく増加する中、消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置付けられている。その税率を引き下げることは適当ではない」と述べた。石破茂首相(自民総裁)も4月30日、訪問先のフィリピンで記者団に「高所得者も含めて負担が軽減される」と述べるなど慎重姿勢を示している。

 立憲民主党は夏の参院選公約に食料品の消費税率ゼロ%を盛り込む方針で、他の野党も消費減税を求めている。自民としては財源論を背景に「責任政党」としての立場を強調した方が得策との判断に傾いたもようだ。自民幹部は「減税を盛り込めば選挙に有利になると思っているのは間違い。そんな無責任な政党に政権は任せられない、となる」と話す。

 自民の森山裕幹事長は党税制調査会に消費税に関する勉強会を近く設置する方針で、勉強会の議論を通じて減税論の沈静化を図りたい考えだ。ただ、夏の参院選を控え、参院自民や党内の「積極財政派」からは食料品などの減税を求める声もくすぶる。【竹内望、野間口陽】

毎日新聞

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