全国唯一の共産党籍の町長が誕生 保守系が共倒れ 大阪・忠岡町長選

2025/05/18 23:06 

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 前町長の辞職に伴う大阪府忠岡町長選が18日投開票され、無所属新人で元町議の是枝綾子氏(61)=共産推薦=が、無所属新人2氏を破り初当選を決めた。前町長の杉原健士氏(64)は大阪維新の会に所属していたが、町発注の公共工事を巡り官製談合防止法違反などの容疑で書類送検され、党から除名処分を受けた。維新が公認候補の擁立を見送ったうえ、保守系2氏が共倒れする形になり、共産系候補が首長の座を勝ち取った。

 共産党中央委員会や府委員会によると、党籍がある現職の首長は、埼玉県蕨市長と長野県中川村長で、是枝氏は唯一の町長となる。大阪府内の首長としては、2006年に当選した東大阪市長以来という。

 開票結果は、是枝氏が2367票を獲得。いずれも無所属新人で元町議の松井匡仁氏(55)が2302票、三宅良矢氏(46)が1920票だった。松井氏と三宅氏が保守票を奪い合い、共倒れとなった形だ。投票率は50・64%(前回44・93%)だった。

 初当選を決めた是枝氏は「信じられない。住民の押し上げがあった。女性や子育てしている若い人の反応がだんだん良くなり、最終盤は大きな支援を受けている実感があった」と語った。

 前町長の杉原氏は25年3月、町発注の道路舗装などの公共工事で入札情報を事前に漏らしたとして、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで大阪府警に書類送検された。4月20日付で辞職した。

 維新は町長選に公認候補を擁立しなかった。党幹部は「維新として不祥事があったので、反省の意味を込めて静観する」と述べた。

 一方の是枝氏は町議を9期33年にわたって務め、副議長も経験した。24年10月の町長選では、2939票を獲得した杉原氏に対し、是枝氏は2167票と善戦していた。

 その7カ月後に実施された今回の町長選で、是枝氏は「清潔で公正なまちをつくる。住民の声を聞き、住民の声で動く町政に変えていく」と主張。公共工事の入札制度を改革し、最低制限価格を事前公表するなどの公約を掲げた。

 忠岡町は大阪湾に面した大阪府南部にあり、大阪市中心部から電車で30分ほどの距離。面積は3・97平方キロメートルで、全国で一番小さい町でもある。【中村宰和】

毎日新聞

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