立憲民主、内閣不信任案見送りで調整 衆参同日選の誘発を懸念

2025/06/10 05:00 

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 立憲民主党の野田佳彦代表は9日、今国会での石破茂内閣への不信任決議案提出を見送る調整に入った。石破首相が15日からカナダで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)の前と後に、野党が求めた米国との関税交渉を説明する与野党党首会談に応じる姿勢を示しており、野田氏は「不信任」を突き付ける理由が薄れたと判断したとみられる。

 少数与党の状況下、衆院で野党が結束して不信任案が可決されれば、首相は内閣総辞職か衆院解散を迫られる。これに対し、政権側は「提出された時点で解散だ」とけん制していた。

 野田氏は不信任案を提出する場合、事前に他の野党と共同提出に向けて協議する考えを示したが、日本維新の会の前原誠司共同代表や国民民主党の玉木雄一郎代表は慎重な姿勢を崩さなかった。総辞職後の新たな首相指名や、7月の参院選と合わせた衆参同日選となった場合の選挙協力で、一致できる見通しが立たず、政局の混乱を避ける判断もあった模様だ。

 立憲幹部によると、野田氏は9日の執行役員会で「『適時、適切に』という姿勢は変わらないので、みなさんも同じように」と述べた。野田氏はこれまで、年金制度改革関連法案の提出を政府が見送れば、不信任案提出の理由になる考えを示していたが、立憲の主張を取り込む修正で自民、公明両党と合意した。立憲幹部は「野田氏は元々、不信任案を出すつもりはない。出さないことが弱腰だとも思っていない」と述べた。

 野田氏は8日、米国との関税交渉について「首相は『国難だから協力してほしい』というわけだから、きちんと党首会談をやるべきだ」と述べた。これに対し自民の森山裕幹事長は9日、首相が出発前の12日に与野党に説明する意向があると表明し、帰国後にも開催する方針を示した。

 ただ、立憲内には参院選前に政権との対決姿勢をアピールするため、不信任案を提出すべきだとの声が根強い。【池田直】

毎日新聞

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