「熟議」の理想、にじんだ党略 夫婦別姓、企業献金…先送り相次ぐ
今国会では選択的夫婦別姓制度の導入や企業・団体献金の禁止、安定的な皇位継承のあり方など、長年の懸案とされてきたテーマで先送りが相次いだ。「熟議」の理想とは裏腹に、参院選を意識した党利党略がにじんだ。
「熟議と公開をメインとする国会で、間違いなく国会が変わりつつあるということを皆さんも実感できたのではないか」
立憲民主党の野田佳彦代表は20日、国会審議を通じて高額療養費制度の自己負担上限額引き上げが凍結されたことや、基礎年金の底上げ策が復活したことを「成果」として振り返った。
一方で、選択的夫婦別姓制度などについては「残念ながら先送りされた」と述べ、秋の臨時国会で決着をつけられるよう、参院選に臨む考えを示した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、経済界や当事者団体などから導入を求める意見が強く、1997年以来28年ぶりに衆院法務委員会で審議入りした。
しかし、「家族のあり方を変える」などと保守層を中心に反発。立憲、国民民主、日本維新の会の3党がそれぞれ制度導入に向けた法案を提出したものの、各党の立場の違いが大きく、採決は見送られた。
自民党は旧姓の単独使用を可能とする見解を盛り込んだ「基本的考え方」をまとめたが意見集約には至らず、参院選前に党内の分断を避ける思惑から独自法案の提出も見送った。
与野党は19日、「できる限り速やかに合意を得ることを目指し、今秋の臨時国会で審議する」と継続審議を申し合わせた。
ある自民幹部は「急いで進める話ではない。氏制度、家族制度の話はもっと落ち着いているときにすべき話だ」と語った。
安定的な皇位継承に向けた皇族数確保策を巡っては、衆参正副議長が目指した今国会での意見集約が見送られた。
2024年に各党の見解が出そろい、20年来停滞していた国会での議論が本格化。自民の麻生太郎最高顧問と立憲の野田氏が非公式協議を続けてきた。しかし、女性皇族の夫と子の身分を皇族にしないと主張する自民側と、皇族とする案も検討するよう求める立憲側で隔たりが埋まらなかった。
「30年来の宿題」とされてきた企業・団体献金のあり方を巡る議論も関連2法案の採決が見送られ、継続審議となった。
秋の臨時国会以降も与野党の協議が続く見通しだが、衆院で「少数与党」の状態が続く限り、政策協議に時間を要する状況は変わりそうにない。
自民関係者は「少数与党が厳しいのは当たり前だ。こんなことはいつまでも続けていられない」とこぼした。【森口沙織、畠山嵩】
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