備蓄米「心折る価格」 減反から一転の増産政策、コメ農家の嘆き
滋賀県高島市の箱館山山麓(さんろく)、中山間地にある草ぼうぼうの耕作地。斜面や段差があり、場所によっては背丈ほど草が伸びている。「これを除草するだけでどれだけの労力がかかるか」。案内してくれたJAレーク滋賀の子会社「アグリサポート高島」(高島市今津町日置前)の大森重俊社長(62)がそうこぼす。
県内は中山間地の耕作地が多く、高島市内で言えばコメ作りの6割ほどに当たる。平地に比べて水の確保や区画整備、獣害対策、斜面の除草など困難な課題が多い。「ほれ、ほとんど水が流れていないでしょう」。大森さんが指さす先を見ると、かんがい用の水路に水がちょろちょろ。酷暑などの影響で、農業用水源となる山間部の複数のため池が枯れてきているのだという。
今月1日、石破茂首相は事実上の減反である生産調整を見直しコメ増産へと政策を転換した。大森さんは「増産するのはいいけど、すぐに対応できるものではない。長年にわたって減反政策に協力してきたのに」とぼやく。実際、雑草だらけの耕作地やいびつな形状の区画、渇水状態の水路、張り巡らされた獣害対策用の柵を目の当たりにすると、こと中山間地において「コメ増産」は机上の空論のようにも感じられる。
その上、高島市は高齢化率が約38%と県内で最も高く、農業従事者も年々減っている。中山間地の耕作地を見て回ると、お年寄りの姿しかなかった。現状のコメ収量でさえ、今の農業従事者数の能力の限界を超えているという。アグリサポート高島では若い農業従事者を増やそうと移住者を募ったり、草刈りなどのバイトを雇ったりしているが、今のところ減少傾向を止められそうにない。
大森さんは「『コメ増産』を言うなら、政府が課題を解決するための予算を付けてくれないと。食糧も防衛もどちらも国の安全保障なのに、予算がつくのは防衛ばかり。農業基盤整備にもっと投資してもらいたい」と嘆く。
米価高騰が消費者の懐を直撃した令和の米騒動は、図らずもこれまであまり知られていなかったコメ農家の苦境をも浮き彫りにした。物価高による燃料や農機具の部品、人件費などの高騰。そこに「2000円」の備蓄米放出が追い打ちを掛けた。「2000円はコメ農家の心を折る価格。その備蓄米がまだ多く出回っている8、9月は新米出荷の時期だ。再生産可能な適正価格にしてもらわないと、コメ作りが続けられなくなる」。大森さんの心配は尽きない。【長谷川隆広】
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