市議会解散の静岡・伊東市長「新しい風の出現に期待したい」

2025/09/10 18:27 

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 静岡県伊東市の田久保真紀市長は10日、自身の学歴詐称疑惑を巡る市議会の不信任決議を受け、市議会を解散した。11日までに失職か解散かの判断を迫られていた。

 公職選挙法の規定で40日以内に市議選(定数20)が行われ、10月中旬に投開票される見通し。解散後初の市議会に3分の2以上の議員が出席し、過半数の同意で再度不信任案が議決されれば市長は失職する。

 田久保氏は中島弘道議長に解散を通知した後、報道陣に「9月議会初日に不信任決議がなされ、大変重要な議会が初日で放棄された。(議会改革が)市民に信を問いたい一番のところだ」と解散を選択した理由を話した。

 市議選で「田久保派」が7人以上当選すれば再度の不信任を阻止できることから、田久保氏側は新人の擁立に動いているとされる。ただ田久保氏はこの日は「新しい風の出現に期待したい」と述べるにとどめた。

 一方、中島氏は「大義なき解散に怒りしかない。多くの市民も納得いくものではないと思う」と話した。青木敬博副議長は「6万4000人市民の生活より4500万円かかる市議選を選んだ。市民ファーストでなく自分ファーストだ」と批判した。

 田久保氏は東洋大除籍の経歴を「卒業」と公表していた。市長就任後に「卒業証書」だとする文書を市職員や議長に見せ、市広報誌に「東洋大法学部卒業」という誤った経歴が掲載された。 

 市議会調査特別委員会(百条委員会)は、東洋大が卒業証書を発行していないことを確認し、田久保氏が偽の「卒業証書」を市職員に示して経歴を誤認させたと結論付けた。田久保氏は「卒業証書」を入手した経緯を明らかにしていない。

 田久保氏を巡ってはこれまでに市議会や市民などが、百条委で偽証したとする地方自治法違反や公職選挙法違反(虚偽事項の公表)、偽造有印私文書行使などの疑いで県警伊東署に刑事告発し、3件が受理されている。【若井耕司、斎藤文太郎】 

毎日新聞

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